第171回 物流アウトソーシングの落とし穴(4)~標準化の先に分業(アウトソーシング)がある~
■まずは標準化
物流アウトソーソングを実行するには、荷主企業の業務プロセスを明確にする事から始めます。
〔物流アウトソーシングに関係する業務プロセス〕
①受注・発注工程 ②在庫引当工程 ③出荷指示工程 ④ピッキング工程 ⑤流通加工・梱包工程 ⑥検品工程 ⑦輸配送受渡工程 ⑧返品工程
抽出した業務プロセスは、手順を整理して「情報」と「モノ」の流れを清流化しなくてはなりません。
情報の流れとモノの流れに連携を持たせ、それぞれが一定の流れに従って正しく同じ方向に進んでいなくてはなりません。
業務の流れを一定のルールに従って固めてしまうことを「業務の標準化」と表現します。
清流化した流れは標準化されます。
荷主企業の業務を標準化せずにアウトソーシングしてしまうと、流れに不規則な手順が残ってしまい、後の工程へ混乱を及ぼす可能性があります。
不規則な手順とは、正常では無い業務プロセスを指し「イレギュラー」として
業務負荷が加わります。
荷主企業が自社の業務プロセスを「標準化」することが、アウトソーシングを成功させる第一段階です。
■業務フローは荷主企業のノウハウ(その1)
「標準化」した流れは、業務フローとして明文化しなくてはなりません。
業務フローは今後の修正や改善の基となり、各企業独自のノウハウとも言えます。
物流アウトソーシングの失敗事例の中で、自社の業務フローが標準化されていないことが多々あります。
特に、上記〔物流アウトソーシングに関係する業務プロセス〕の中で、④〜⑧は物流事業者の領域だという理由で、荷主企業が全く関心を持っていない企業は少なくはありません。
正しいアウトソーシングを実行するには、物流の流れを明確にして、その工程を
管理しなくてはなりません。
また、もし失敗したときのリスクを回避するためには、自社の「物流業務フロー」をしっかりとノウハウとして保有しなくてはなりません。
■業務フローの分業がアウトソーシング
受注から始まる業務フローは、ひとつの流れとして顧客への商品引渡しまでを網羅します。
物流アウトソーシングとは、標準化された業務フローを自社の領域と委託する領域で二つに分割することなのです。
この業務フローの分割を『業務分業=アウトソーシング』と表現します。
業務フローの中で、どこからどこまで分割をするのか曖昧なままでアウトソーシングを実行すると、委託者と受託者の業際が不明確となって後々の軋轢を生んでしまうことが有り得ます。
特に「責任」と「権限」は同期させないといけませんが、業際が不明確なままであると、「責任を持つ者」と「権限を持つ者」が分割してしまいます。
分業を実行するうえでは、「情報とモノの清流化」を続けることと、「責任と権限」を分離させないようにすることです。
特に注意深く双方間の業際を定めることが物流アウトソーシングを失敗しないための施策となります。
次号に続く。