第93回 物流業界におけるコンプライアンス・コスト(3)
【安全管理コスト】
物流における安全管理コストとは、以下の5項目を重視しています。
これらのコストは、直接的に発生がありその費用を直接的に負担するのは物流企業となりますが、物流オペレーションの一環である事を考えると、荷主企業においても一定の負担を行うべきものであり、負担=安全への取組みとの共通認識を持たないといけません。
- <1>交通安全に関わるコスト
- <2>労働安全(安全衛生)に関わるコスト
- <3>商品安全(荷物事故)に関わるコスト
- <4>施設安全に関わるコスト
- <5>環境安全に関わるコスト
<1>の交通安全に関わるコストとは、拠点間における輸送業務や倉庫・配送センターから顧客までの小口配送など、輸配送中での交通事故防止を目的とした設備や装置及びそれらを専門的に管理する人的な費用が該当します。
<2>の労働安全に関わるコストとは、倉庫や物流センターにおける安全衛生に関しての設備や装置及びそれらを専門的に管理する人的な費用が該当します。
<3>の商品安全に関するコストとは、商品の保管方法や梱包における設備や装置・資材及びそれらを専門的に管理する人的な費用が該当します。
<4>の施設安全に関わるコストとは、倉庫や物流センターにおける施設・ 設備面を中心とした建築建造物などの安全利用に必要な費用が該当します。
<5>の環境安全に関わるコストとは、環境対策や環境改善への取組みに必要な主に人的にかかる費用が該当します。
いずれの5項目も、安全管理マニュアルの作成や安全管理委員会の実施など、組織としての対応や取組みは必須であり、顕在化したリスクだけではなく今後発生が起こりえる微少な可能性のある潜在的なリスクについても、対策や対応を考えておくことが重要です。
これらの作成や活動には当然のことながら費用が発生します。
発生した費用は物流コストとして、荷主と物流事業者の双方が負担をする関係でないと、社会性のある事業(者)とは言えません。
また、このコンプライアンス・コストも運賃や作業費などと同様のコストであるので、将来逓減化できるようなコストマネジメントは欠かせないものです。
コストマネジメントを実施するには、コストの可視化を行い、PDCAを実施するロジスティクス・デザインが無いと、活動そのものが積極性を欠くことと なります。