第157回 ロジスティクスとインセンティブ(4)~バリュー型3PL~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『日本型3PL』には、3つのモデルがあります。

それぞれが、3PLという業態を利用して価値創造を行っています。

今回は『日本型3PL』の中で、最も顧客が求めている”価値創造の継続性”を追求した「バリュー型3PL」を考察いたします。

■日本型3PLの3モデル

(1)コーディネート型3PL・・・キックオフ〜安定化までは【価値大】
(2)元請型3PL・・・自社アセット型のみ【価値大】
(3)バリュー型3PL・・・継続性に【価値大】

「バリュー型3PL」

「コーディネート型3PL」や「元請型3PL」は、計画からキックオフ(業務開始)までが、その真価を最大限発揮するステージであり、次の課題は業務の安定化となります。

企画内容が業務に完全に落とし込まれないと、顧客満足はもちろん得られません。

しかし、安定化された物流業務に顧客はある一定期間について高い評価を行いますが、時間の経過とともに満足度は低下するものです。

顧客満足度を継続的に高めていくには、安定化後新たに発生する課題や不満の種を解消する活動を実行しなくてはなりません。

倉庫や配送センターにおけるオペレーションでは、「改善」を日々意識した現場作りが肝要です。

また、コストに対する削減要求に終わりは無く、小さな改善や改良を重ねて顧客へ配分(還元)し続けないと、3PL事業者の価値が薄れてしまいます。

自社倉庫や自社便での輸配送などを提供している物流オペレーションには、本来荷主が取るべき資産保有リスクや安全管理リスクが移譲されており、物流投資に関連する不確実要因を代行している明確な価値が存在します。

しかしノンアセット型3PLには、システム投資などを除けば目に見える物質面での価値提供が薄く、業務安定後の価値創造には顕在化した物質以外の効用が求められます。

倉庫や車輌以外の付加価値提供とは、「継続的な改善活動や、顧客のメリットとなる提案・具現化活動による品質向上とコスト削減」に帰結することは、至極明確です。

この「継続した価値創造」を実行することが『バリュー型3PL』と定義されると筆者は考えます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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