第156回 ロジスティクスとインセンティブ(3)~元請型3PL~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『日本型3PL』には、3つのモデルがあります。

それぞれが、3PLという業態を利用して価値創造を行っています。

今回は3つの『日本型3PL』の中で、最も国内で普及・浸透している「元請型3PL」について考察してみます。
  
■日本型3PLの3モデル

(1)コーディネート型3PL・・・キックオフ〜安定化までは【価値大】
(2)元請型3PL・・・自社アセット型のみ【価値大】
(3)バリュー型3PL・・・継続性に【価値大】

「元請型3PL」

「元請型3PL」とは、荷主のアウトソーシング領域拡大にともなって、構内荷役・輸配送・倉庫・その他荷役(流通加工)・国際物流など各々の物流アウトソーシング請負事業者の中で、「強みのある勝者」が他事業者を包含し元請化された、発展の合理性に適った事業モデルと考えられます。

ここで表現する「強みのある勝者」とは、以下の3通りに分類されます。

■物流業の発展モデル(強みのある勝者)

(1)地域においての強みを発揮し、特定顧客の事業領域を拡大させた。

(例)地場運送業のパターン
①輸配送提供⇒②倉庫・荷役⇒③一括元請

(2)機能においての強みを発揮し、展開によって事業領域を拡大させた

(例)中堅倉庫業のパターン
①機能型倉庫提供⇒②流通加工⇒③輸配送元請⇒④一括元請

(3)ネットワークにおいての強みを発揮し、特定顧客及び展開によって事業領域を拡大させた。

(例)大手宅配会社のパターン
①全国宅配⇒②倉庫・流通加工⇒③国際物流⇒④一括元請(一貫物流)

『元請型3PL』の特徴として、前述した「強みのある勝者」モデルには、その殆どが荷主へのアセット提供(車輌・倉庫・マテハンなど)が根底にあります。

どの物流事業者にも、中核(コア事業)となる業態(一般区域運送業や倉庫業、特積貨物運送業など)があり、そのコア事業をテコにレバレッジを効かせた事業拡大策による”強み”の最終形が『元請型3PL』と筆者は考えます。 

自社の”強み”を最大限発揮し、レバレッジを聞かせた深耕化活動により顧客の満足度を向上しました。

また、元請文化が好んで醸造された、国内産業における典型的な事業拡大モデルが『元請型3PL』となり現在の物流業発展に大きく寄与しています。

国内における多くの「3PL」はこの『元請型3PL』に分類されます。

次号に続く。 

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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