第155回 ロジスティクスとインセンティブ(2)~コーディネート型3PL~

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

『日本型3PL』には、3つのモデルがあります。

それぞれが、3PLという業態を利用して価値創造を行っています。

今回は3つの『日本型3PL』の中で、「コーディネート型3PL」について考察してみます。

■日本型3PLの3モデル

(1)コーディネート型3PL・・・キックオフ〜安定化までは、”価値大”
(2)元請型3PL・・・自社アセット型のみ”価値大”
(3)バリュー型3PL・・・継続性に”価値大”

「コーディネート型3PL」

「コーディネート型3PL」とは、倉庫・荷役・輸配送・国際物流などの単品オペレーションを、3PL事業者がコア(核)となり、顧客にとって最適なロジスティクス体制を構築することです。

その役割として、企画・設計(システム)・導入(立ち上げ)・調整までを一貫して行い導入後のマネジメント業務を基本とした物流プロデューサー的な役割ともいえます。

物流資産(倉庫・設備・車輌など)の保有か否かは、分類の基準ではありません。

自社倉庫などを持っていても、顧客の最適な倉庫ロケーションが自社倉庫でなければ、外部倉庫を調達してくることが「コーディネート型3PL」の特徴となります。

本来顧客が果たすべき役割を、3PL事業者が担うこととなりますが、「コーディネイト型3PL」の課題は、新体制が安定した後にあります。

継続した顧客への提案や、オペレーションにおける改善活動を毎年実施するなどにより、品質の向上と物流費の削減を実現し続ける能力が期待されます。

安定化後の数年間に、何ら顧客への改革・改善が訴求できなと、顧客の興味関心は薄れ、いずれは弾かれることも十分に想定されます。

また、現在のような厳しい景況下においては、常にコストプレッシャーをまともに受けることになります。

多くの国内3PLはこのモデルであり、継続性についての課題が最も懸念されるタイプとなります。

「コーディネート型3PL」は、受注から立ち上げにおいて最大限の価値を創出することが可能であり、また評価される3PLモデルとなります。 

次号に続く。 

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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