第153回 ファイナンス3PLの展望(5)~物流と金融の融合「ABLとフィールドイグザミナー」その2~

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前回は『ABL』における担い手として、3PL事業者が活躍可能である旨説明いたしました。

その役割として『フィールドイグザミナー』という『ABL』には欠かせない機能として紹介しました。

借り手の在庫を担保にした融資である以上、在庫商品の管理は貸し手サイド(金融機関)にとって、最重要課題であります。

資金の貸し手(金融機関:レンダー)が、提携した営業倉庫へ商品を移動した上で、資金需要者に対して融資を行う事が可能であれば、在庫商品の保管や入出庫の操作について、十分な管理が可能であります。

しかし、借り手にとりまして融資を受ける為に在庫商品の移動を行うことは、物流戦略面、コスト面から考えて無理があるスキームだと考えられます。

国内における『ABL』の普及はこれからだと思いますが、時流から考察すると今後のニーズはその浸透度と併せて高まっていくものと想像されます。

実際の運用面から考えると、前筆のとおり融資のためにレンダーの指定する営業倉庫へ在庫移動を行うことは困難であり、現実的ではないものです。

では、「物流とファイナンスの融合」をモチーフにしてきた筆者の考えとは、3PL事業者こそが、『ABL』を具現化できる最適な位置づけだと想定している訳です。

3PL事業者の役割とは、「ロジスティクスの最適化を、顧客に代わって実現する、または企画・設計・構築する・・・」訳でありますから、物流戦略と金融戦略は手法として別のものとなります。

しかし、その解決策を3PL事業者が主体的になって管理・運営することが可能となると、まさに『物流とファイナンスの融合』が実現できるものです。

3PL事業者が、金融機関と提携しその責任において『ABL』を顧客へ提供できれば、他社との差別化は計り知れないものとなります。

3PL事業者の機能に、「フィールド・イグザミネーション」を付加する事によって、レンダーの「在庫商品に関する保管・管理リスク」は極小化されます。

『ABL』をブレイクスルーさせるには、金融機関だけの取組みではなく、在庫を担保とする性質を十分に考慮しなくてはなりません。

その主軸プレイヤーに『3PL事業者』を起用することが具現化できると、加速度のあるファイナンスサービスとして普及するものと筆者の目には写っています。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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