第150回 ファイナンス3PLの展望(2)~ファイナンスと物流の融合は、荷主の期待を具現化する3PL~

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

物流サービスを提供する事業モデルでは、見えない品質見える価格サービス購入者の判断軸となります。

見えない品質をいかに差別化して自社サービスの強みを訴求できるかが、今後の物流事業者の課題となります。

一方顧客の視点では、コスト削減に繋がる提案は大歓迎でありサービスを購入する上で最も購買動機が高まります。

しかし、利益を極限まで削った販売は、自社の経営を圧迫し企業成長の妨げにもなりえます。

国際物流事業においても同様で、「低コスト輸送」「グローバルネットワーク」「安全安心そしてスピーディ」などのキャッチフレーズは、どれも見た目の違いがはっきりとは感じられません。

例えば、「貴社のキャッシュフローを良化します!」や「貿易債権リスクをヘッジする国際フォワーディング!」といったコピーには、従来の物流企業が発信した角度とは、大きく違った真新しさを感じます。

物流をマクロ的に視ると、企業における「コスト管理」の範疇であり、多くの人は「プロフィット管理」とは捉えていないと思えます。

「コスト」に関わる各種サービスは、『低減する・・・、逓減する…』が共通キーワードであり、マイナスが成されて初めて評価されるパッシブ(受動的)な印象の強い語句に感じてなりません。

例えば、「キャッシュフローの改善」や「売掛債権リスクのヘッジ案」となると、アクティブ(能動的)な印象が芽生え、物流に対する潜在的な「マイナス化論」がプラス思考へと変革します。

荷主にとっても、財務的な角度から物流サービスを提案されると、コスト以外の付加価値に対してこれまでとは違った検討がなされるようになります。

ファイナンスと物流は、数々のシーンで密接に関係しています。

物流事業者が金融サービスを一体化して顧客へ提供するモデルは、今後の物流業界において大きな差別化戦略となります。これまで、物流事業者を決定するプロセスに「財務部門・経理部門」が参画することは、そう多くありませんでした。

しかし、物流とファイナンスの融合サービスが提案されることにより、既存企業か低料金企業が中心であった選定基準も、複眼的視点に変わることが期待されます。

3PLサービスとは、自社の提供できる概念に捉われず、顧客の視点にたった包括的な物流サービスを企画・提案・具現化できることに荷主は期待しているものです。

荷主の期待(=喜び)を実現できる物流企業こそが真の3PL提供者と考えられます。

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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