第147回 「物流企業のブランド戦略(3)〜無形サービスにおける要諦〜

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

輸配送や荷役作業などの物流実務を、オペレーションという言い方で表現します。

しかしオペレーションそのものは誰にでも見える類ではなく、物流サービスを提供している荷主企業にのみ,その評価が成される『相対的な価値』の積重ねがサービスの信頼性・確実性を高めていきます。

無形サービスである「物流オペレーション」は、無形性であるが故に提供された荷主の心理がその価値評価に大きく影響を与えます。

倉庫からの出荷作業や目的地への輸配送など、荷主から指示された依頼は確実に行われて「当たり前」と評価され、ミスや事故を発生してしまうと、「不完全作業」として、大きなマイナスイメージが残ってしまいます。

物流現場では、「今日は年に一度のピークだから」とか「荷主の指示情報が担当者の不備によって遅延したから」などとそれなりの理由が正当化されることも多いと思われます。

しかし、荷主企業の販売部門や管理部門では、物流部門員と同じ認識で、ミスや事故に関して容認される事はめったにないものと思われます。 

物流に直接携わっていない人から見ると、「年末の繁忙期」は事前対策を「なぜ施さなかったのか?」と思う方が強く、現場の事情は関心事ではありません。

「物流サービス」を有形化することは出来ませんが、各自の工夫によっては「可視化=見える化」は可能です。

成果も失敗も、可視化によって人の見方は変わってきます。

見方が変われば、評価も変わり、何に対して改善や努力を重ねて行けば良いのか、評価を上げる方策も見えてきます。

筆者は仕事がら、多くの物流担当者や物流管理責任者とお会いしますが、その人によって、既存物流企業の評価は随分違った印象を持っています。

大半が「主観的な評価」を行い、「客観的な事実」をする上での情報不足によるものだと感じています。

ならば、「客観的な評価」を行えるための情報を提供し、荷主企業全員が自社(物流企業)の提供するサービスに対して、共通の視点による適正な評価を成されるよう、物流オペレーションの「可視化」を広く進める事がその企業にとって、価値を認知してもらう要諦と言えるでしょう。 

次号に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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