第103回 物流子会社の影響力その3
いよいよ第一四半期の最終月となりました。
燃料価格も大幅上昇となり、荷主企業・物流企業ともに厳しい現実であります。
財・サービスの価格とは一般的には、市場で需給均衡が達成される時にそれらの物価水準が決まると言われていますが、トラック運賃に関しては需給均衡の変化にあまり関せずにその価格が決定されています。
これには、車両を保有し運送サービスを実務とした企業と、車両を保有せずに元請若しくは取扱事業者として斡旋サービスを提供する企業が同類化し、同じ市場で双方共存している事が、大きな理由ではないでしょうか。
運送サービスについては、比較的参入障壁の低い類が多く、需給のバランスのみでは、脅威が優先され自社の付加価値を追及する活動が消極的になってしまいます。
サービスの均一化によってもたらされたその代償は運送サービスを提供する業界にとって、機会と脅威が混沌となり市場原理に追従されない特異なマーケットとも感じられます。
物流子会社を考察する上では、この特異なマーケットにおける環境を理解し、現状の荷主と物流企業との相互関係を客観的に捉え、大きく変化した業界環境やその特徴にも注視しなければなりません。
物流子会社の分類その1として、
<1> 親会社及びそのグループ企業の保管・荷役・輸送を事業とし、自社従業員
が保管・荷役・輸送の実務提供を行っている。
多くの物流子会社がこの<1>タイプに該当しますが、倉庫や車両を自社で全て保有しているところは減少傾向であり、固定資産のオフバランス化が顕著に進んでいます。
この<1>タイプの物流子会社の使命は
①親会社の物流における求められるサービスレベルの維持及び向上
②永続的なコスト削減による利益貢献
③親会社の人事対策
と全てが親会社からの要求を満たす事が企業存続の価値と見なされています。この①~③を継続していく上で、やや独自進化した業態が
<2> 親会社及びそのグループ企業の保管・荷役・輸送を元請し、その一部は自社従業員で実務提供を行っているが、大半は管理業務を主体としている。
となり、資産のオフバランス化やコスト削減の追及によって進化しました。
次号へ続く。