第142回 荷主企業のリスク対策プログラム(7)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

荷主企業の物流アウトソーシングにおける管理リスクには、以下の6項目が想定されます<前号より続き>。

<1>品質低下によるもの 
<2>コストアップによるもの 
<3>流通形態の変化によるもの 
<4>商品形状の変化によるもの
<5>物量の増減変化によるもの
<6>委託先の突発的な取引停止によるもの

<4>商品形状の変化によるリスク

まず輸配送を委託する場合、現実問題として運送会社の好む商品形状とあまり好まれない商品形状がある事は、想定も容易だと思います。

■運送会社が好まないと思われる商品形状

①長尺物(特に4mを超えると2トン車に積めなくなるため)
⇒車輌制限となり、共同配送や混載において積載率低下の要因となる。
②上積みできない物
⇒積載率低下
③請われやすい物
⇒積み付けに不合理が発生し、積載率低下の要因となる。
④無梱包出荷品
⇒積み付けに不合理が発生し、積載率低下の要因となる。
⑤匂いが発生し、他の物に移る可能性のある物
⇒共同配送や混載に不向きとなり、積載率低下の要因となる。

これら5項目はいずれも車輌や混載輸送における制約条件となります。

出荷量が低下し、従来通りの輸送手段が維持出来なくなると、その代案として、複数積み輸送や共同配送・混載便(路線便)輸送が考えられますが、商品形状によっては大きな制約条件であり、合理化の妨げとなります。

新商品の開発や設計変更には、合理的な輸配送が最大限可能となるように考える必要があります。

また、簡易梱包も輸配送に制約条件が付くような変化は、梱包費が削減されても、運賃が上がる可能性もあります。

製造業の企画・設計部門の方で、こうした輸配送における契約運賃や契約条件を理解している方はそう多くはないと思われます。

物流部門や営業部門にて、コストアップのトリガーとなる要因を熟知し、企画部門や設計部門へも運賃契約内容を十分に説明した上で、関係者全員が理解しておくこともリスク管理のひとつとして重要な回避策であります。

現状の自社商品形状を十分に把握した上で、商品形状がどう変化するとコストや品質に影響が出るのかを、事前に明文化しておくことによって、この項の回避策としては有効な処置といえます。

次号に続く。 
  

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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