第141回 荷主企業のリスク対策プログラム(6)
荷主企業の物流アウトソーシングにおける管理リスクには、以下の6項目が想定されます<前号より続き>。
<1>品質低下によるもの
<2>コストアップによるもの
<3>流通形態の変化によるもの
<4>商品形状の変化によるもの
<5>物量の増減変化によるもの
<6>委託先の突発的な取引停止によるもの
ここ最近、製造業の経営企画部門に所属している方々との面談で、よく話題になるのは、「昔のように、工場からの直接出荷体制を考えていますが、基幹システム内で物流管理・輸送管理を行っていることが、今になってようやく不合理だと判りました」といった内容です。
たしかに、WMS(倉庫管理システム)や輸配送に関する業務系のシステムを基幹システム内で構築することは、合理性に基づいた正しいシステム設計だと思います。
特に情報セキュリュティー対策に関しては、基幹の中で一体管理を行った方が運用・サポートも容易であり、一般的だと思われます。
しかし、物流の合理化を考えると「製造現場からの直送体制」は昨今の縮小化時代においては、有効な施策であり流通形態の変化による見直しを図るべく喫緊の課題ともいえます。
家電品や衣料品・薬局店などは、個人商店販売から量販店販売へと流通形態が変化し、物流におけるその役割も大きく変貌をとげています。(例えば、小売店直送からセンター一括納品など)
製造業における流通形態の変化による影響と卸売業における流通形態の変化による影響は、それぞれの業態発展により違いはあります。
この項における物流管理リスクとは、出荷体制や輸配送体制の形態が変わり、業務フローの変更・作業体制の変更などが余儀なくされることです。
冒頭にあった工場からの直接出荷体制とは、自社(外部)の倉庫や配送センターへの在庫移管が主体的な役割だった工場物流が、販売先への直送体制を強化するなど、配送の手配・出荷が多様化することです。
この工場から大口販売先への直送は、輸配送合理化策となり大きなコスト削減効果が生まれます。
このように、商品の流体形態が変化すれば物流面でも現状と違った業務が発生するので、情報システムや業務体制など将来のリスクとなるべく項目についての管理が必要となります。
次号に続く。