第97回 物流業界におけるコンプライアンス・コスト(7)
品質管理コスト その2
『SLA/サービス・レベル・アグリーメント』の定義とは、
“顧客と3PL事業者間にて、実行する物流サービスの内容・範囲及び前提条件などを明確化し、サービスレベルに対する要求事項を可視化(数値化)する。た定義した内容が適正に実行されるための、運営ルールを顧客と3PL事業者との間で合意書として明文化したもの”
であります。
物流サービスが可視化され、その目標や設定に対しての進捗管理や工程改善などが日常的に行われてこそ、サービスの可視化が発揮されます。
「品質管理コスト」とは、そのような品質を向上させるシクミや直接関わっている人件費などが主な項目と考えられます。
また、ISO9000シリーズやP(プライバシー)マークの取得・維持活動なども「品質管理コスト」に該当します。
「SLA」の導入はすこしずつではありますが、物流契約の一部として浸透しています。
サービス内容について、可視化可能な項目を抽出し数値として取り決めを行えば、客観的にその物流サービスの評価が可能となり、コスト競争以外の物流業者選定手法として、荷主のアウトソーシング先選定を明瞭化します。
よく、「コストと品質は連動している」とのご意見を聞きますが、それは品質を上げるには、コストが上がるとの認識のようです。
しかし、必ずしも品質の向上とコストアップがリンクしているとは限らず、品質向上の結果として、コストダウンされる事も多々あるものです。
「SLA」によって数値化した物流サービスを、改善するためのアクションプランによって実行し、合理化や最適化された結果がコストダウンとして還元されるものです。
管理コストを荷主と物流企業でどのようにシェアするべきなのかは、その取組み内容によって異なりますが、継続した改善活動を具現化し得るには「SLA/サービス・レベル・アグリーメント」の導入ほど、便利なツールはないのではないでしょうか。