第218回 ポスト3PLの時代(16)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

前号に続き、Web通信販売企業A氏から相談された「物流コンペ」の模様を紹介します。

今後の物流体制について、担当A氏は物流センターの運営契約と配送便契約を分離することにした。

その理由は、一括方式でご提案いただいた各物流企業からの見積価格で、配送料金(宅配)だけがどうしても納得のいく価格に達しなかったことがあげられる。

A氏が一人で物流コンペを実行していた時は、価格に関する具体的なターゲットは特に設定せず、漠然と現状よりも下がれば良いと思っていた。

しかし、コンサルタントB氏がプロジェクトに加わることによって、自社の適正価格を理解し、コンペにおけるターゲットプライスをそれぞれ明確に設定した。

見積価格やサービスレベルに関しての選定基準を事前に設定したことが、極めて有効な施策となり、誰の目にも透明性のある委託先決定ができた。

物流センターを管理するWMSについては、委託を決めた物流企業の保有するパッケージを利用することになったが、カスタマイズを行うための要件定義は、自社でまとめることにした。

この時の要件定義書が、今後自社の物流プロセスを明確に理解する重要な記録となるのである。

物流センターの倉庫契約は、センター運営(請負)とは分けたことも今回の特徴的な契約形態の一部である。

物流センターを保有する地主(今回は不動産ファンドの大規模物流センター)と直接契約を締結し、作業を全面委託する手法である。

結果として、1社へ一括委託しようとしていたスキームが、物流センター契約・業務委託契約・運送契約と3社平行の契約形態となった。

この分離契約方式を進めるうえで、ひとつだけ大きな課題が浮上することになった。

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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