第232回 物流企業の成長戦略4
前回に引き続いて、中小物流企業の成長戦略を考察します。
今回は「中小企業の成長戦略その1」”地域密着化”です。
中小物流企業が勝ち残る差別化戦略は、以下3点が想定されます。
地域密着化 ・特定地域に密着し、あらゆる物流サービスを展開する 消費材徹底化 ・食品、日用雑貨など消費材における物流市場をとことん追求する 協業体制化 ・自社単独で戦うのではなく、戦略的パートナーシップを構築し複数連合で展開する 第一の『地域密着化』とは、自社の最も得意とする特定地域(例えば、神奈川県全域とか、近畿2府4県全域とか区分が分かり易いもの)をホームグランドとして捉えます。
そのホームグランドの中でも、出荷貨物を狙うのではなく、到着貨物をターゲットにした 戦略を策定します。
例えば、以下のようなイメージとなります。
- ■常温品は全て配送可能とする
- ■常温品・低温品、全ての貨物に対応できるようする
- ■企業向けだけではなく、個人向け(宅配)配送も可能とする
- ■365日24時間可能な配送体制を取る
- ■開梱搬入や据え付け設置なども可能な体制とする
- ■引っ越しや事務所移転など、地域を限定して濃厚なサービスを構築する
- ■企業の機密文書や保管文書と併せて、個人の家財品も保管する
- ■TC(通過型センター)サービスに重点をおき、どんな時間帯でもどんな貨物でも受け入れるような体制を構築する
などなど『地域』をキーワードにすることで、多くの物流サービスが想定されます。
また、広域だと資金的にも対応できない物流サービスも、地域を絞って限定的 にすることで、難易度は下がります。
あらゆる到着貨物の受け入れ体制が構築できると、必然的にそれらの荷受人(顧客) から出荷される発送貨物がターゲットとして明確にイメージできます。
物流企業の『差別化戦略』として、最も期待されるひとつはズバリ、【品質の高い保管・荷役・配送サービス】です。
当然コストの安い(廉価)サービスは評価されますが、無理して継続できないシクミ は評価されません。
自社の目の届く(しっかりと管理できる)領域を作り、高度な管理手法を用いて 品質向上に努めることが実践できれば、十分に大手企業とも戦えます。
地域密着化戦略は、中小企業の成長に欠かせない重要なKSF(キー・サクセス・ファクター) のひとつです。
次回に続く…。
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