第265回 変貌する物流戦略その11

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

「荷主企業の取るべき施策」(5)

新年明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年は「甲午(きのえうま)」の年でした。

「甲」とは、十干の第一であり、物事の始まりを意味し、過去10年が改められる年でもあります。

「午」は組織やシクミに対して激しく動き抵抗する意味があるそうです。

2014年を振り返りますと、ドライバー不足による運賃高騰現象が深刻な問題として社会全体へと顕在化しました。

4月に導入された消費税率引き上げが、未曾有の大混乱となり国内物流全体がハレーションを起こしてしまいました。

その後は一転して荷動低迷期が続き、物流企業業績を増収増益から減収減益に陥れる混迷ぶりでした。

2014年の物流業界はまさに激動の一年であったと思います。

2015年は「乙未(きのとひつじ)」の年です。

乙未の年は、多くの抵抗や難題を受けながら新旧の勢力が衝突し、多事多難な一年とのことです。

この一年を無事に乗り切るには、理念や規範を重んじてひとつひとつの業務に対して、誠実な対応が求められる年であると思います。

さて、前号から引き続き、荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルについての考察を行います。

求められる知識とスキルは以下7項目です。

1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力

今号は、3PL/物流企業が保有するWMSのメリット・デメリットについて考察してみます。

倉庫情報システムとはWMS=Warehouse Management Systemの略語で、一般的には倉庫管理システムと訳されます。

倉庫内作業において、WMSは欠かせない機能であり、WMSの優劣が様々な物流オペレーションの合理性・生産性を決定付けます。

(1)3PL/物流企業が保有するWMSを活用するメリット

・WMSに関わる初期投資が不要となる
・WMSに関わる資産がオフバランスとなる
・自社情報システム部員がWMS開発に時間を取られない
・基幹システムへの影響リスクが低い
・現場サイドで、柔軟かつスピーディなカスタマイズが可能である
・物流専門会社が構築するため、最適システムの実現性が高い

(2)3PL/物流企業が保有するWMSを活用するデメリット

・基幹システムとの連携、I/F(インターフェイス)が必要となる
・マスターの二重化が発生する
・入荷や出荷などの処理において二重化が発生する可能性がある
・WMS開発におけるノウハウが蓄積されない
・荷主が意図するカスタマイズが出来ない可能性がある
・オペレーションとシステムが一体化することで、取引解約難易度が上がる
・他社資産を利用するためコスト増となる

WMSを誰が持つのか?を考察すると、概ねB/SやP/Lへの影響度合いか、業務遂行における利便性追求のいずれかにメリット・デメリットは分かれます。

自社がどのような物流戦略を構築しているかによって、WMSの活用手法は判断され、最適解が導きだせるものなのです。

・・・次回に続く。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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