第247回 物流コンペ成功のキーファクター6
物流コスト削減施策のひとつであります「物流コンペ」を成功に導くための手法を公開いたします。
物流コンペにおける「情報の非対称性」を避ける
物流コンペを成功に導く最も重要なキーファクターは物流RFPです。
RFPとは「Request For Proposal」の略語で、物流コンペに参加する物流企業へ提出する「提案要求依頼書」のことです。
物流アウトソーシング(業務委託)を実施するにあたり、物流コンペへ参加して頂く企業(物流企業)へ提案を依頼するための仕様書となります。
では、なぜ「物流RFP」が重要なのかを説明します。
前号で物流RFPに記載するべき項目を概要として列挙いたしました。
これらの情報が正確に平等に物流コンペ参加企業へ伝達できないと、情報の不均衡が発生してしまいます。
例えば、A社からは直近半年間のデータを求められたので、渡した。
次にB社からは、1年間のデータを求めれたので、渡した。
C社は同じ1年間だが、期間の違うデータを渡した。
このように、提供するべき基礎情報に相違が見られると、分析する物流企業には情報の非対称が発生してしまいます。
情報の非対称性とは、市場取引における買い手と売り手の当事者同士が保有する情報が不均衡であることを指します。
通常買い手は、商品に対する品質等の情報について詳しくは分からないが、対する売り手は詳しく把握している状態のことを指します。
物流コンペにおける情報の非対称性は、市場取引のケースとは異なり売り買いの立場が逆になります。
①市場における売り手=荷主(情報保有者であり提供をする立場)
・自社の物流に関して詳しく知っている者
②市場における書いて=物流企業(情報を受け取り分析する立場)
・荷主の物流に関して知らないまたは、偏った知識を持っている者
荷主と物流企業との間で、もしくは物流コンペに参加する各物流企業間で情報の不均衡が発生してしまうと、情報の少ない者が極めて不利となってしまいます。
物流コンペに参加する企業間で、情報の有利・不利が発生した場合、整合性の高い競争とは成り得ないからです。
情報不均衡からスタートした物流コンペ(競争入札)は、入り口から失敗の道を進んでいくことは避けられません。
・・・次号へ続く。