第262回 変貌する物流戦略その8
「荷主企業の取るべき施策」(2)
荷主企業における物流オペレーション部門に求められる知識とスキルは、以下7項目です。
1.現場遂行力(オペレーション力)
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
3.倉庫ロケーション設計力
4.倉庫情報システム(WMS)理解力
5.輸配送マネジメント力
6.改善力
7.生産性分析力
今号は、2.スタッフマネジメント力について考察致します。
2.スタッフマネジメント力(募集、採用、教育など)
1990年代、日本型3PLの台頭と元請一体型の普及により物流アウトソーシングが主流となり、多くの荷主企業は物流オペレーションを外部委託化してきました。
それは、集中と選択を経営戦略の旗印とし「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営リソースを中核事業へ投下するための荷主企業の重要施策でもありました。
一方で、本来企業(自社)に保有しておかくてはならないノウハウや知恵も、外部委託の推進とともに外部流出している事実に気づかなくてはなりません。
そのひとつがスタッフマネジメント力です。
スタッフマネジメント力とは、物流センター(倉庫)における以下5項目のスキルです。
(1)人材の募集活動
(2)人材採用
(3)教育訓練活動
(4)要員計画
(5)改善活動
これらの活動において求められるスキルやノウハウを見ていくことにします。
(1)人材の募集活動
物流センターでは絶えず募集活動を行い、スタッフの補強や補充が求められます。
募集活動には決して少なくないコストが発生します。
どの広告媒体が有効か、どの広告媒体の組み合わせが効率的かなどは、一定期間の経験があってこそ知識として保有されます。
物流アウトソーシングによって募集活動から解放された一方で、募集ノウハウは失われています。
(2)人材採用
人材採用も募集活動と連動したノウハウとなります。
採用区分(正社員・非正社員)の定義や、フルタイムもしくはパートタイマーなどの勤務体系も、物流センターオペレーションには欠かせないノウハウです。
(3)教育訓練活動
新しく採用されたスタッフの教育カリキュラムが必要となります。
一定時間の事前教育とOJT(On-the-Job Training:オン・ザ・ジョブトレーニングに使用する教育マニュアルがなくては、スタッフの作業標準化や生産性向上は容易ではありません。
(4)要員計画
要員計画とは、物流センタースタッフのスケジュール管理やシフト管理のことです。
繁忙期や閑散期における要員調整や、日別の仕事量に対応するためのレイバーコントロールなど、極めて重要なスキルが求められます。
また、パートスタッフにおいては、イベント時の集団欠勤リスク(運動会などの学校行事)を避けるための分散採用なども考慮しなくてはなりません。
(5)改善活動
現場における改善活動は、個々のスキルよりも職場としての文化やマインドがその成否や継続性を左右します。
センター長からパートタイマーに至る全従業員が改善の視点を持ち続けることで、小さな気付きから大きな成果に結びつくものです。
・・・次回に続く。