2017年物流コスト抑制のポイント(その1)
皆様が認識されているとおり、国内の物流コスト(輸配送・倉庫保管料・倉庫作業料)は上昇の一途を辿っています。
更にそのコストの元となる作業人件費及び倉庫建設費用の上昇は抑制される様子が見受けられません。
一度上昇した費用が理由もなく低下することは想像できない事態です。
そこで今回はコスト削減の厳しいこの時期にこそ取り組むべきコスト抑制策に注目してお伝えいたします。
まず、物流コストは次の3つに区分することができます。
- 調達物流コスト:仕入先から国内在庫拠点までの物流コスト
- 社内物流コスト:国内在庫拠点に入庫してから出庫するまでの物流コスト
- 販売物流コスト:国内在庫拠点から出荷して得意先に届ける配送コスト
我々コンサルタントが取り組む物流コスト削減は初期段階では『社内物流』にポイントを絞って取り組みます。
第2段階として販売物流及び調達物流に着手することで見直しの領域を拡張します。今回注目するのは『販売物流』になります。
- 返品(廃棄)の削減
『返品』にかかるコストは安くありません。
例えば、出荷にかかる費用は@760円/個(ピッキング@30円/個、検品梱包100円/個、資材費用@30円/個、配送費用@600円/個)だけでなく、返品にかかる費用@790円/個(着払い運賃600円/個、返品入荷@20円/個、検品&返品処理@100円/個、箱入替え@50円/個、入庫20円/個)が必要になります。
その他にもクレーム対応にかかる人件費も含めると2,000円/個近い費用がかかることになります。また、商品によっては『返品=廃棄』になるものも存在します。
返品と廃棄にかかる費用を削減できれば、そのまま営業利益に反映されます。
まずは貴社の返品と廃棄にかかる費用を数値化してください。
次に発生原因を全て蓄積して、発生要因の真因追究です。発生要因を蓄積することで傾向が見え、対策検討する優先順位が見えてきます。
- 得意先との納品条件の見直し
『配送サービス』が問題視されるこの時期、優先的に取り組むべきことが『納品サービス』の見直しです。
配送条件はお客様との約束で決まります。
しかし、元々ある基本となるサービスだけでなく、時間を経る中でお客様の要望を取り入れることで複雑化し、イレギュラー(基本以外の対応)が常態化していることが散見されます。
今までは複雑な個別対応も可能であったかもしれませんが、その全てを物流現場で担っていたことを考慮すると、今後の継続は見直すべき時期にきています。
必要とされるサービスは継続し、『あるから利用している』程度の無くても良いサービスは廃止を検討するということです。
取引を始めて永いお客様ほど、必要性は関係なく昔の条件がそのまま残っているということはよくあることです。
見直しには下記5ポイントを必ず入れてください。
物流業務の負担軽減に効果があります。
- 得意先要望による時間指定
- 得意先要望による梱包仕様
- 納品ロット
- 受注占め時間
- 配送回数
- 得意先要望による梱包仕様
物流コストが上昇しているこの時期に『物流コスト削減』を図ることは困難と捉えられています。
しかし、『コストを抑制する』切り口はまだまだ存在します。
是非、今までご法度として着手しなかった手法にもチャレンジして、『基本サービス』と『本当の得意先要望』に合致する施策を取捨選択してください。