第6回 2015年の物流業界時流(6)グローバリゼーションへの対応
政治・経済・文化などが、国家の枠組みを越え地球規模に拡大する現象である「グローバリゼーション」。これにより、”ヒト・モノ・カネ”が世界中を移動する。
“ヒト”と”モノ”は、航空機や大型船舶(特にコンテナ輸送)の発達により世界中を駆け回る。”カネ”はIT(情報技術)によって瞬時に移動する。さらに、インターネットの発達で、世界中の情報を自宅のパソコンで見ることができる。世界規模での「比較と選択」が可能となったことがグローバリゼーションの大きな特徴といえる。
影響を受けた製造業は、創業した国から生産コストの安い国や地域へ生産拠点を移動させる。中国が「世界の工場」といわれたのは、日本を含む欧米先進諸国がモノに関わる生産コストの極小化を図り、結果、中国に集中したことによる。日本は非資源国であるが故に、加工貿易を中心として経済成長を遂げ、GDP(国内総生産)を世界第三位に押し上げた。
貿易における物流の主役は、国際間の貨物利用運送事業者であるフォワーダーだ。日本での国際物流の担い手は、国内最大手の日本通運をはじめとする総合物流会社と船社系、旧財閥系倉庫会社、旧電鉄系、大手物流子会社、港湾サービス系と、いくつかのグループに分類される。いずれもベースとなる荷主を軸に、海外主要港・都市などへ進出している。
加工貿易国の物流は、原油や鉄などの資源・材料の海外から国内への輸入、加工後の製品の国内から海外への輸出。形は変わるが二度の物流オペレーションが発生する。
国内の生産拠点が海外へシフトし続ける昨今は、国内市場を対象とした製品の輸入物流のオペレーションが中心となる。日本は平成二十三年、三十一年ぶりに貿易赤字国となった。今後の物流企業の成長は、必然的に輸入を視野に捉えた戦略が求められる。 グローバル経営を思考する3PL(サードパーティー・ロジスティクス)企業の戦略は、地方工場で生産される加工製品の輸出貿易物流ではなく、海外のあらゆる工場の生産品の輸入物流と海外から海外への物流だ。
日本の3PL企業は、グローバル市場で世界の物流会社を相手に戦うことを余儀なくされる。グローバル競争で不可欠なのは「語学力」と「多様性」。日本企業の不得手なL(Language=外国語)とLS(Local Staff=ローカルスタッフ)の強化だ。グローバリゼーション時代の日本の物流企業は、3PLのポジションを外資系企業と戦う中で、より一層の競争優位な戦略が求められる。