第5回 2015年の物流業界時流(5)成熟期へ転換する日本型3PL

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

 日本の物流アウトソーシングは、時代の変化とともに取り組み領域が拡大し、機能も進化してきた。現在では、製品保管業務・荷役業務・輸配送・物流情報システム・流通加工業務など、原材料の調達からエンドユーザーである一般家庭の配送に至る全てのサプライチェーン(供給網)が対象領域となっている。
 中でも目覚ましく発展したプロセスは、物流センターにおける拠点運営と配送センターの高度機能化だ。
 物流センターの高度化実現に欠かすことが出来ないツールがWMS(倉庫管理システム)。元来WMSは、倉庫内のロケーション管理とピッキングリストを発行するためのシステムだった。そこへ、在庫管理・作業進ちょく管理・流通加工管理など、荷主の物流業務を最適化するための高度な作業指示・管理機能が装備され、飛躍的に物流センターの機能価値が向上した。
 次に、配送サービスにおけるマルチ対応。輸配送での荷主の選択肢は、チャーター便と特別積み合わせ便(路線便)の二者択一が主流だったが、共同配送やクロスドッキングなど効率性とコストパフォーマンスを追及した輸送モデルが具現化した。これらの輸送体制を、計画から実行まで展開するために、TMS(輸送管理システム)がWMSと連動して進化した。物流センター機能や配送センター機能の高度化は、荷主への貢献であると同時に物流会社の差別化戦略となり、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)拡大施策を大きく後押しした。  だが、どのようなビジネスモデルにもライフサイクルがあり、導入期・成長期から成熟期、衰退期へと階段を経る。日本の3PLビジネスは、いままさに成長期から成熟期への転換を迎えている。
 3PLビジネスの市場規模はまだ拡大余地はあるものの、荷主と日本型3PL企業の関係は「利益相反」だ。端的に言うと、荷主の求めるコスト削減は3PL企業の売り上げ減となる。この対立した取引関係を改善しない限り、マーケットのさらなる成長は見込めない。
 欧米企業で普及した本来の3PLビジネスは、コンフリクト(対立)関係から、共存関係へと画期的な進化を遂げた。
 荷主からの相談でよく耳にするのは「既存の物流会社からは何の提案もない」である。この荷主の率直な感想の本質的な課題は、日本型3PLの対立関係から来ている。
 3PLビジネスの今後には、荷主の要望を満たし、自社の利益も享受可能な取引関係へ昇華することが求められている。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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