商品を破損させてばかりいる物流事業者・・・実は「品質はピカイチ」の実態
物流事業者の評価軸
物流というのは、形がなく目に見えない、「サービス」の提供になります。
そのため、物流というサービスの良し悪しの判断が、曖昧となっている傾向があります。
みなさんは物流の良し悪しをどのように判断していますか?
例えば、荷主企業において複数の物流事業者へ業務を委託している場合、このようなコメントをよく聞くことがあります。
「A社は、しょっちゅう商品を破損させる」
「B社は一生懸命頑張っている」
「C社は物量が増えたときに対応できない」
これらのコメントにはある共通点があります。
それはどれも、荷主企業担当者の主観的な意見で明確な根拠がない状態で物流事業者を判断しています。
頻度とタイミング
A社の場合は“しょっちゅう商品を破損させる”とありますが、この「しょっちゅう」とはどれぐらいの頻度でしょうか。
偶然にも2日連続で破損事故が発生し、新任担当者が、「しょっちゅう」と評価しているかもしれません。
実はよく調べると、A社はこれまで破損事故は年1~2回程度、品質は非常によい状態でした。
しかし、新任担当者着任直後に、不運にも2日連続で事故を発生させてしまっただけかもしれません。
点ではなく面で捉える
B社の“一生懸命頑張っている”というのは、正直なところ精神論になっています。
具体的にどのように頑張ってくれているのでしょうか。
一生懸命頑張っていると評価しているのは荷主企業の勝手な想いで、実際のところ、追加オーダーという名の出荷オーダー締め後の緊急出荷が頻発しており、物流事業者がその対応を押し付けられているだけかもしれません。
物流を明確にする
C社の場合は・・・みなさん、そろそろお分かりでしょうか?
“物量が増えたとき”とありますが、そもそも、物流事業者が対応可能な物量というものを事前に取り決めているのでしょうか。
対応可能な物量からプラスアルファとして物量がどの程度まで増えたときに対応可能なのか、これも事前に数値化をしておく必要があります。
通常期・閑散期・繁忙期の物量を明確にしたうえで、対応できる・対応できないを判断するべきです。
物流サービスを数値で評価する
A社は「事故の発生率」、B社は「サービスレベル」、C社は「許容可能な物量」これら、量や精度を目で確認できるように数値化することで、物流サービスを感覚的な表現ではなく、明確な根拠をもと、具体的に話すことができます。
また物流サービスを数値で評価することで物流品質への検討や理解が深まることにもつながります。
物流サービスは、荷主企業と物流事業者、お互いの見解を積み上げてきたものになりがちですので、具体的に取り決める基準がないことがあります。
物流サービスを数値化して何が問題なのか、目指すべき目標は何かを議論できるような仕組みを構築する必要があります。
荷主企業と物流事業者の間における物流サービスレベルの取り決め方法については、次回開催のFunai物流オープンカレッジ「物流SLA(サービス・レベル・アグリーメント)&成果を出すためのPDCAサイクル」で詳しくお話しますので、乞うご期待ください。