第7回 3PLはSLA(サービスレベルアグリーメント)導入が成功のコツ!~3PL事業者の視点~

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

今回は、3PL事業者から見たSLA導入の成功事例を紹介します。  

3PL事業者であるA社は、小売チェーン店本部のB社とDC(在庫型) /TC(通過型)兼務の配送センター運営請負を受注しました。  

請負内容は、保管・入出荷・流通加工・店舗配送・管理事務とセンターにおける全ての業務であります。  

料金に関わる契約は、センターフィー契約(通過金額)でありそれぞれの項目によって料率が設定されています。  

センターフィー契約にて、3PL事業者が一番リスクとなるのは、通過金額が設定金額(予想金額)を大きく下回り固定経費が上回ることといえます。  

事務スタッフ・現場スタッフ・配送ドライバー・システム導入費用・マテハン償却費用など、センターを運営する上では、一定の固定費がかかります。  

施設費用+固定人件費+固定配送費=固定原価
固定原価+変動費用(車両・人など)=販売総原価  
販売総原価+販売管理費+利益=収受料金  

収受料金は変動契約なので、毎月その物量によって上下します。

季節による上下変動は契約前の分析・試算によって想定できますが、通過商品の減少や商品構成の変化、取扱店舗数の減少など3PL事業者の領域外の変化は固定費圧迫のリスクとなります。

そのリスクヘッジ策として、SLA締結が大きな効果を発揮しました。

小売チェーン本部のB社は業態変更により、高級小売店からディスカウント販売店に変化しました。

この影響で、センター通過金額も約30%程度が下がってしまいました。

しかし、SLAの中に通過商品に関わる金額の設定や 、量と商品金額の詳細な設定が成されていたので、荷主の業態変更に収受料金(センター運営費用)も対応し何ら荷主とのトラブルもなく、一定の利益は継続できた事例です。  

この場合、将来の顧客業態変更や取扱店舗の減少などマイナス要因の予測・分析を行い、契約前に顧客と話し合って数値化出来た事によります。    

SLAは全ての内容を数値として契約する事です。

品質やリスクの可視・ 数値化こそ顧客と3PL事業者が継続的にパートナーシップを達成する最良の方法ではないでしょうか。  

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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