物流委託先を選ぶうえで重要なのは「コスト」だけではない

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

物流委託先を選定するうえで重要なことは何でしょうか?

弊社はこれまで荷主企業のコンペ支援に数多く携わってきました。

物流委託先を選定するにあたり、当然ながらコスト(定量面)は大事ですよね。あとは、センター運営や柔軟な配送手段の確保といった定性面を見ます。

定性面において、さらに深く見てほしいところがあります。

それは、「企業文化」と「物流現場」です。提案書では見えない、物流企業の雰囲気と実際に働かれている現場の様子を把握することが必要です。

・「企業文化」を知る

「企業文化」を評価するうえでのポイントがあります。

物流企業の営業マンだけではなく、実際に物流現場を回している責任者の性格や言動を見ます。

もし何かあったときに頼れる存在か、逃げたりはしないか、という視点でチェックをする必要があります。

物流企業からのプレゼン時、物流企業に対して「失敗事例」を聞いてみてください。

失敗事例について答えてもらうのは、営業マンではなく、実際に失敗を経験した物流現場の責任者が良いと思います。

これまで経験した失敗事例やなぜ失敗してしまったのか、失敗に対してどのようにリカバリーしたのか、同じようなことを繰り返さないようにどのような対策を取ったのかということを質問するとよいでしょう。

物流企業として新規案件獲得のため、成功事例を全面に説明することが多いですが、あえて失敗事例を質問することで、何かあったときの対応力、組織力を確認することができます。

・「物流現場」を知る

物流委託先を選定するうえで、荷主企業が物流センターを視察に行く機会があるかと思います。

物流センターで実作業を行っている方のうちパート社員が大半を占めていることがよくあります。

物流センター訪問時、パート社員の方へさりげなく話しかけてみてください。

ポイントはあくまでも「さりげなく」です。込みいった話はせず、「仕事はどうですか」「休憩は取れていますか」と世間話レベルで話しかけます。

実作業に携わっている方からの視点で、物流現場の生の情報をこっそり収集するのもひとつの手です。

物流企業の社員が把握しきれていない現場の様子・・・実は、新しく入ったパート社員とベテランパート社員の仲が悪く、センター全体の雰囲気に影響し、最悪の場合、作業に支障をきたしてしまいかねません。

物量が大幅に増加したわけでもなく、新しい業務が始まったわけでもないのに、最近誤出荷や破損が多い・・・その原因はもしかしたら人間関係かもしれません。

物流現場の責任者は社員だけではなく、パート社員も含め、全体の動きを把握する必要があります。

これは新たな委託先を選定するときのみならず、既存の物流委託先に対しても同じです。

現場を回しているパート社員の方から情報収集することで新たな問題が見えてくるでしょう。

物流企業を選定するうえでの見るべき視点は、Funai物流オープンカレッジ8月講座「物流コンペ手法大公開」にて、さらに詳しくお話します。

ご参加される方は乞うご期待ください。

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田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

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