第59回 物流子会社の彷徨(9)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

利益の出ている物流子会社を売却する場合、株式上場企業であれば基準と なる株価が明確です。

しかし、一般的な物流子会社は非上場企業が大半であり適正な株価算出や、企業価値評価なども行われていないのが実態です。

物流子会社を売却する場合は、その方向性として大きく2つの視点があります。

(1)売却時の価値(利益)を多く求める
(2)売却後のコスト削減を多く求める  

この(1)及び(2)の方向性は全く別のものであり、両方を求める事は 相反するものです。

売却時の価値(利益)を求めると、その利益分が購入者のコストとなり物流費に還元されます。

元来、物流費を下げて行きたいが故の売却であるなら ば、売却益を求めずに将来における継続的なコストダウンにこそ、売却 理由が正当化され、評価されるものです。

今回のA社の事例でいくと、1億円の経常利益X数ヵ年の『価値』を正当に期待するところだが、物流子会社のケースではDCF法などの企業価値算出方法は適用しずらいのが現実です。

一般的なDCF法を用いて算出しても、「純資産」を上回った『価値』は 全て、コストとして跳ね返ってくるものです。

多くの物流子会社の場合、「純資産方式」を適用し
①簿価純資産法
②時価純資産法
のいずれかで算出することが健全だと思われます。

しかし、全く当該企業から発生する利益を考慮しないかと言うと、それも正しく はなく、親会社分を除いた「外販分の利益」のみを事業が産出した『価値』と して評価し、その価値分を「収益還元法」などにより算定することもあります。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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