物流コンペ実施の基本視点
昨今の物流環境は輸配送に始まり、作業人件費上昇、倉庫建築費高騰などコストupの条件ばかりが高まっています。
安定した物流体制を先んじて構築する、または現行の体制にほころびを感じる企業は安定物流の再構築に既に動き始めています。
物流体制再構築を実施するには、必要な機能見直しによる委託先企業の再選定が一般的。しかし、コンペ実施時点では業務内容の伝達に齟齬があり、立ち上げ以降に大きなトラブルとなるケースも少なくありません。
今回は物流コンペ(委託先選定)を間違い無く進めるための基本的な視点についてお伝えします。
【コンペ推進における基本的な視点】
1.業務量、物量を数値で正確に伝える
仕入れ実績及び販売実績(ピース数)だけでなく、物流の仕事量(ケース。パレット数)を試算できることが重要になります。
2.受け渡しする情報内容を正確に伝える
委託先の業務設計は受け取る情報によって構築されます。渡せる確定情報とそのタイミングを明確にすることが、間違いのない運営の基盤となります。
3.オーダーの傾向を数値で正確に伝える
同じ100個の出荷も何回の出荷で成されるのかによって業務体制が大きく異なります。全ての工程における傾向を数値化して、具体的な業務をイメージできるように伝える必要があります。
4.保管状況を数値で正確にとらえる
作業同様に総在庫量だけでなく、取り扱いSKUや保管パレット数、利用スペースを伝えることで、具体的な保管イメージを伝える必要があります。
5.発生する業務を棚卸しする
商品の出し入れだけでなく、事務作業も含む関連する全ての作業を洗い出すことが必要になります。
6.立ち上げまでの期間を十分確保する
立ち上げとなると既存作業者のモチベーションの問題もあり、できるかぎり短期間で移行する計画が組まれがちです。しかし、WMS開発や作業者の教育など、時間短縮が安定立ち上げのリスクとなるものもあるため、十分な時間を確保することが肝要です。
7.現行業務をタイムスケジュールからも捉える
物流業務には時間的な制約が重要な要件になります。
業務設計をフローや物量だけで説明するのではなく、時間軸で視える化することが重要です。
物流業務の委託先変更は物流体制を再構築する実行段階で必要なステップとなります。一般的な業務委託とは本来、標準化された業務をより業務に精通した企業に委託することで、高い生産性を発揮でき、業務の抱えるリスクを低減することをその目的として実行されます。
物流業務の委託においても上記8つのポイントをはじめに、業務を間違いなく伝えることに留意して実行していただくことが肝要といえます。