準中型免許制度導入によっての業界への影響
近年の貨物運送事業において、ドライバー不足および高齢化はかなり深刻な状況となっております。
就業者の年齢構成を見ても40-60歳が約50%に対し、30歳以下は全体の10%を切っている現状です。
また直近のニュースでも話題になっている業界最大手のヤマト運輸がドライバー不足を理由に荷受制限を発表しています。
扱う物量の違いから単にヤマト運輸のドライバー不足が全てのトラック事業者の課題となっているわけではありません。
しかし、現状でドライバーが足りている企業でも若年層の確保については行えておらず、近い将来には定年退職、離職等でドライバー不足の悩みに直面する企業が多いのではないのでしょうか?
そんな企業にとって、平成29年3月に新設された、【準中型免許制度】は若年層の雇用に対して追い風になる可能性は十分にあると考えられます。
理由としては、
◆取得資格が18歳~
◆自動車運転免許保有経験が無くとも取得可能
◆他業種に比べ、高卒採用での給与が高く設定しやすい
上記の点から、今までであれば、制度の面で積極的な若年層の確保に注力できなかったが、今回の制度導入で注力しやすい環境になったと考えます。
また、経営戦略的な視点から見ても、
◆30~40代の雇用に比べると賃金面での不安を抱きにくい
◆平均年齢の低下
◆将来的な経営戦略(管理職候補の育成)
しかし、たびたび不人気職種の名前の挙がる貨物運送業において、高卒を含む若年層が免許制度の変化でドライバー職を希望するとの考えは楽観的ですし、免許の改定を知った上で準中型免許を取得するとも言い難いですが、この改定を追い風に出来るかどうかは、各企業の施策が大きく影響するのではないかと思われます。
◆安全管理体制を再考し事故率を下げる施策
◆普通自動車と準中型免許取得時の講習差額の補てんを行い業界に入りやすい環境の提供
◆大型ドライバーへのキャリアパスを用意するなど定着率を上げる施策 など企業側から確保に向けた、施策や教育制度の完備を実現することが出来れば、中長期的に見た場合に、同業他社と比較した際に、高い競争力を獲得できており差別化を図ることが出来るのではないかと思われます。