第291回 2016年は“丙申(ひのえさる)”の年(9)〜 評価基準策定 その6〜

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

「物流センター立ち上げ・拠点移動 成功ノウハウ大公開セミナー」、 東京は満席(当初予定よりも15席増席)大阪も10席増席となりました。

多くの方にお申込み頂きまして、誠にありがとうございます。

このテーマでの物流セミナーは初めてのことですが、皆が多くの課題を感じ、実際問題として、物流センター立ち上げに苦労されていることがわかります。

いかに優れた提案であっても、在庫移管やセンター立上げに失敗をすると、取り返しの付かない事になります。

立ち上げ業務は計画から本番まで一連のプロセスに過ぎません。

プロセスは繰り返し実行することで習熟度は上がりますが、初めての方や経験の少ない方は、 座学で学び、他社の事例で想定することで、リスクを回避する他、方法はありません。

それでも、本番当日にはあり得ない事象が現場では発生します。

あり得ない事象を事前に想定することが、失敗しないためのコツでもあります。

本編は引き続き、荷主企業の物流オペレーションに対する“評価基準策定”がテーマです。

物流委託先(アウトソーシング先)を正しく客観的に評価するための「定性評価基準」を考察します。

今号は【定性評価モデル】における“顧客配送”の内容をレビューします。

顧客配送とは、物流センターやDC拠点から顧客へのラストワンマイルを意味します。

顧客配送に利用される輸送手段は下記の通り。

1.チャーター便
2.路線便
3.区域便による積み合せ便

いずれも、荷主企業の顧客へのインターフェイス(接点)を担っています。

管理項目も、これまではインサイド中心でしたが、顧客配送に関しては、アウトサイドを見ていかないとなりません。

料金やリードタイムなどは定量評価です。

定性評価としてモデル化する項目は、

1.配送クレーム 遅延率
2.配送クレーム 事故率
3.配送クレーム トラブル率

などが上げられます。

また、年末や年度末において車輛確保が出来ない元請け事業者も最近では増えています。

そこで、配送管理においても

4.完納率が求められます。

これらの管理項目はいずれもKPIとして数値化し、物流SLAにて双方で合意することが望ましい管理手法です。

これからの時代、荷主はコストだけで物流会社を選定・管理するのではなく、このシリーズで考察した「委託先 評価基準」を適切に作成し、定量・定性両面で評価しなくてはなりません。

企業が物流サービスを長期的に管理し、競争力を構築していくには、この二つを同時追求することが肝要であり、重要なノウハウとなります。

運賃水準は今のところ膠着状態が続いています。

理由としては、原油安と物量低迷です。

輸送会社においては、更なるローコストオペレーションが求められます。

積載率や回転率を如何に高め、限られた拘束時間内で稼げるトラック事業を展開できるかが経営のポイント。

荷主企業は料金だけに固執せず、全体を見渡してムダを排除する俯瞰的マネジメントが求められます。

今後の物流部は高度な管理手法とITを活用したデジタル・マネジメント時代へと突入しました。

何れの立場も、世の中の動きを敏感に捉え、時流に乗り遅れることのない姿勢が勝ち組の基本活動となります。

次号からは新連載「2020年東京オリンピック・パラリンピックと物流」と題して、2020年に開催される、東京オリンピック・パラリンピックが物流業界にどのような影響を及ぼし、どのような事象が起こりえるのかを仮説立てをしながら、考察していきます。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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