倉庫運用管理が物流全体を反映している! 今すぐ取り組む倉庫運用改善のチェックポイント
<物流倉庫の改善の4原則「ECRS」と業務改善事例>
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近年の物流業界の変革は物流コストに大きく影響を与えています。
その対策として物流現場で最もニーズの多いテーマが「コストダウン」です。
本コラムでは、『倉庫運用管理』と『倉庫作業改善』で実現するコスト削減について解説します。
今、取り組むべき物流コスト削減のターゲット
この時期にコストダウンはナンセンスと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、担当者からするといたって当たりまえです。
運賃上昇が回避できないのであればその他の費用でコスト削減を図らなければ収益は悪化の一途になります。
しかし、この時期のコストダウンは容易ではありません。
今までと同じ業務方法、ルール、サービスレベルを保ったままでのコストダウンは虫が良すぎて実行が伴いません。
そのような中で、今、取り組むべき物流コスト削減のターゲットはズバリ!『倉庫運用管理の強化&改善(作業の手順・業務方法・ルール見直し)』です。
私が今この時期に『倉庫運用管理』と『倉庫作業改善』に着目しているのは下記2点からです。
着眼1:倉庫運用管理は物流全体を反映している
物流フローを見るとすべての貨物と情報の流れは倉庫に集約されます。
貨物でいうと入出荷、在庫、返品。情報では入出荷データ、在庫データです。
その結節点である倉庫の運営管理及び改善活動のレベルはその企業の物流全体管理そのものを表すことになります。
目の前にある倉庫作業及び在庫管理ができなければ、離れた業務である輸配送に高度な管理を及ぼすことは不可能です。
数値管理においても同様のことが言えます。
つまりそこにはその会社の物流管理の考え方、実行力がそのまま表れているのです。
実際に我々がうかがってきた企業様においても、倉庫内(アウトソーシング先含め)の管理ができていない企業が物流全体管理に長けているということはありません。
逆に倉庫現場管理が長けている企業は管理している数値や着眼もよく、物流全体の管理に活かされています。
着眼2:倉庫作業改善は企業全体のコスト削減の推進力になる
「倉庫作業改善」の取り組み自体は目新しいものではなく、以前から取り組まれている企業様も多数あることと思います。
我々物流コンサルタントも数えきれないほどの物流現場を見てきましたが、大半の企業様が『倉庫作業改善』に関する取り組みに励まれております。
しかし、倉庫によって運用管理及び改善取り組みの深さには雲泥の差があります!
その理由は明白で、一部の鋭い管理者の勘に基づいて改善策を実行しているからです。
そのようなレベルでは仕組みとして改善に取り組んでいる現場には到底かないません。
長年積み上げた改善の風土(考え方と運用)は簡単に習得できるものではありません。
しかし、下記の「効果が上がる改善テーマ」を優先して取り組むことで、比較的短期間でのコスト削減に貢献することが可能です。
また、早い段階で改善取り組みの成功体験を現場に残すことで、継続した改善の礎となります。
倉庫の改善の動きは全体に波及します。
結節点が変わると徐々に末端まで波及します。
効果が上がる改善テーマ
効果が上がる改善テーマには以下の5項目があります。
- 改善1:標準作業の設定
- 改善2:繰り返し作業の弊害となるイレギュラー及びムダの排除
- 改善3:動きを短縮するモノの配置
- 改善4:標準作業を徹底させる管理、指導方法
- 改善5:出荷頻度と出荷傾向(量/回)から見たモノの置き方とピッキング方法
改善を成功させるもう一つの視点は、改善1~3の分析方法を会社で決めることです。
それにより改善のサイクルが回りやすくなります。
推進力を維持する重要なポイントです。
- 1.改善ネタを見つけることで改善取り組みのハードルが下がる
- 2.問題発見までの時間が短縮される。
- 3.改善を継続する推進力となる。
ここまで来ることができれば、改善の評価と改良を会社として促すことで、継続でき、それが風土となります。
結節点である倉庫の管理レベルの向上により、そことやり取りする各所もレベルアップします。
物流コスト低減を図ることは簡単でなくなりました。
だからこそ、労働集約型である倉庫業務の管理強化と作業効率向上を図る『本当の物流力』が重要になっています。
本当にコストダウンに困られている貴社も倉庫に注目して取り組んでください。
本当の物流力が向上し、間違いなく貴社のコスト削減の大きな力になります。