荷主が取り組むトラック確保策
深刻なトラック不足は日本国内の大きな問題です。
トラック手配ができなければ市場に商品を供給できなくなり、企業収益に深刻な打撃を与えることになります。
弊社にお問い合わせいただく企業は既にお困りの企業もありますが、今後を見込んで対策を始める企業が多数いらっしゃいます。
現時点では販売機会損失を生んでいない企業様でも、リスクはどの企業も包含していると言えます。
荷主が包含しているリスク
①現在の取引先物流企業が販売に必要なトラックを十分に確保できないことにより、出荷量が制限される販売機会損失
②取引先物流企業が限定されることにより、既存取引先の値上げ要請を回避できない値上げリスクどちらのリスクも企業経営に直接打撃を与える大きな課題です。
ドライバー不足が解消される決定策が見つからない今後、そのリスクは一層顕著に表れることと想像されます。
しかし、先んじて対策を講じることで競合他社に優位性を持つこのできる大きな武器となりえます。
まさに物流が企業経営の営業利益を左右する部門となりえます。
そのために必要な視点は一つです。
『物流企業(トラック保有企業)に選ばれる』荷主となることです。
トラック保有企業が喜ぶ仕事を出す視点は下記のポイントになります。
選ばれる貨物の視点
①配送条件の緩和
(ア) 時間指定の撤廃または緩和
(イ) 積み降ろし条件の緩和(手積み手卸よりパレット)
②集荷時間の前倒し・受注締め時間の前倒し
③リードタイムの緩和(翌日配送ではなく、納品の幅を作る)
④荷姿の変更(積載しやすい・持ち運びやすい梱包)
⑤配送条件を緩和する
今までの販売及びコスト中心に決められていた配送条件から物流を考慮した配送条件と梱包状態に変化しなければならない時期に来ているのです。
物流を中心に置いた取引仕様変更には多くの企業が抵抗感を持ちます。
しかし前述のようにリスクが回避できないことが見えている昨今、商品を市場に供給するために必須の取り組みと捉えて会社の考え方を変えなければ、トラック手配のリスクは排除できません。
この取り組みで最も重要なポイントは、物流部門だけでなく会社全体でトラック確保のリスクを認識し、これからの物流戦略を根本から見直すことです。
経営層がリスクを捉えなければ営業部門はいままでと変わらぬサービスレベルを求めることになります。
それでは上記の施策を取ることは不可能です。
確実に進めるためには下記のステップで社内改革を進める必要があります。
荷主の物流部門が配送リスク低減に取り組むステップ
①自社を取り巻く環境を客観的に捉え、リスクを明確に示す
②自社の成長計画と①を合わせ見て、リスクによる影響を推測して数字で試算する
③トラック輸送の業務構造を理解して自社貨物のウィークポイントを抽出する
④トラック輸送のコスト構造を理解して自社貨物のウィークポイントを抽出する
⑤選ばれる荷主になるための改善策を策定する
⑥改善による効果を推測して数字で試算する
⑦物流企業と改善策の影響を話し合う
⑧営業部門と改善策の影響を話し合う
⑨経営層に改善施策の実行を提案する
簡単な取り組みではないため、重い腰を上げるには時間が掛かります。
しかし、年々進行するトラック手配事情の悪化は待ったなしです。
会社の物流を託されている物流部門担当者の皆様はその構造をよく理解したうえで、構造改革の提案を進めることが求められます。
物流コストUPが回避できない今、物流部門が担っている役割は経営に与えるインパクトから、一層高まっていきます。
会社で一番物流に身近な皆様が、このコラムを読まれることで貴社の営業利益低下が表面化する前に、喫緊の課題として改革に動かれることを提案させていただきます。