特定技能ドライバー採用、成功の鍵は“相棒”選びにあり

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inaguma

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネス支援部
物流HRグループ 外国人ドライバー採用チーム アソシエイト

深刻化する人手不足を背景に、特定技能制度を活用した外国人ドライバーの採用が本格化しています。この新たな取り組みの成否は、単に人材を確保できるかだけで決まるわけではありません。
採用した人材を生活面からサポートしてくれる、「登録支援機関」という“相棒”をいかに選ぶか。それこそが、特定技能ドライバー採用の成否を左右する重要な要素となるのです。

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法的義務と事業リスク:なぜ登録支援機関が不可欠なのか?

特定技能制度では外国人材を受け入れる企業に対し、日本で安定して働き、生活できるよう幅広い支援を行うことが法律で義務付けられています。特に、過去2年間に外国人材の受け入れ経験がない企業は、この支援の全てを国に登録された専門機関である「登録支援機関」に委託することが必須です。

不適切な登録支援機関を選んでしまうと、支援が不十分となり受け入れ企業が行政指導を受けたり、将来の外国人材受け入れが不可能になってしまうリスクがあります。

登録支援機関の腕の見せ所:「義務的支援」の深掘りと「任意的支援」の提供

法律で定められた義務的支援も、その質でドライバーの定着率は大きく変わります。登録支援機関の真価は、法律で定められた義務的支援をこなすだけでなく、運送業で働く人材の「生活」を深く理解した質の高い支援を提供できるかにかかっています。

住居確保と地域との共生

会社への通勤のしやすさを考慮した物件を探すだけでなく、入居時に近隣住民へ挨拶回りを行うなど、地域社会に円滑に溶け込むための具体的な支援ができるか。

相談対応


事故や急病といった緊急時に24時間365日、母国語で対応できる体制はもちろん、長距離運転による孤独感など、ドライバー特有の心理的負担に寄り添えるか。

価値を高める任意的支援

法律で義務付けられていない任意的支援こそ、登録支援機関の真価が問われる領域です。

 登録支援機関の最重要ミッション

運転免許取得の戦略的サポート外国人ドライバー採用における最大のハードルは、来日後最長6ヶ月以内に日本の運転免許を取得することです。優れた登録支援機関は、このハードルを乗り越えるための具体的な戦略を持っています。単に免許センターに同行するだけでなく、学科試験対策のための母国語教材や、提携する自動車教習所での実技練習を提供します。

資格取得の情報提供:業務の幅を広げるフォークリフトや玉掛け等の資格について、情報提供や受験手続きの補助を行う。

コミュニティ形成支援:職場内での相互理解のサポートなど、外国人ドライバーが社内外問わずその地域に馴染んでいくための橋渡し役を担えるか。

1万社以上から最適解を導く:自社の戦略に合う「登録支援機関の型」

出入国在留管理庁に登録されている登録支援機関は1万件を超えます。
この中から自社に最適なパートナーを見つけるには、登録支援機関のビジネスモデルを理解することが有効です。市場には大きく分けて3つの「型」が存在します。

■ モデル1:物流・人材派遣統合型

既存の人材派遣や物流事業を基盤とする大手企業がこのモデルにあたります。

強み:全国規模の広域なネットワークを持ち、広範囲に事業展開する企業に均質なサービスを提供できます。大手ならではの安定した経営基盤も魅力です。

考慮すべき点:サービスの柔軟性や、運送業というニッチな分野への専門性の深さでは、特化型モデルに及ばない可能性があります。

最適な企業:全国に営業所を持つ大手・中堅の運送事業者で、標準化された安定的なサポートを求める企業に向いています。

 モデル2:ブティック型・業界専門家モデル

行政書士や業界出身者など、特定の分野に深い知見を持つ専門家が運営する、小規模ながら専門性の高い登録支援機関です。

強み:代表者自身が元トラックドライバーであったり、運行管理者資格を保有していたりするなど、現場を熟知したスタッフによる実践的な支援が期待できます。在留資格申請から現場の支援までをワンストップで提供できる点も強みです。

考慮すべき点:対応できるエリアや人数に限りがある場合があり、海外での人材募集機能は持たないケースが多いです。

最適な企業:特定の地域に根差した中小規模の運送事業者で、経営者と緊密に連携し、質の高いパーソナライズされた支援を求める企業に最適です。

モデル3:ワンストップ・ソリューション提供型

海外での人材募集・教育から来日後の支援まで、全てのプロセスを自社グループ内で完結させるモデルです。

強み:海外での教育段階から関与し、質の高い人材を安定的に育成・供給できる可能性があります。採用プロセス全体を一つの窓口に任せられるため、企業の管理負担が大幅に軽減されます。

考慮すべき点:サービスが包括的であるため、特定のプロセスだけを他社に依頼するといった柔軟な組み合わせが難しく、その登録支援機関のエコシステムに依存することになります。

最適な企業:初めて外国人材を採用する企業や、採用プロセス全体を信頼できる一社にまとめて委託したい企業に適しています。

モデル4:完全内製化モデル(自社支援)

外部に委託せず、受け入れ企業自身が支援体制を構築するモデルです。

強み:外部への委託費用を削減できる点が最大のメリットです。また、支援ノウハウが社内に蓄積され、外国人材との直接的なコミュニケーション機会が増えることで、より深い関係性を築ける可能性があります。

考慮すべき点:自社支援を行うには、「過去2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること」や「専門の支援責任者・担当者を配置すること」など、法律で定められた要件を満たす必要があります。また、各種届出や法改正への対応など、専門知識と多大な労力が求められます。

最適な企業:すでに多数の外国人材を雇用しており、専門の支援部署や担当者を置く余裕のある大企業や、外国人材の活用を長期的な経営戦略の柱と位置づけている企業に適しています。

4. さいごに

登録支援期間を選ぶ上で重要なのは、自社の事業規模、求めるサポートの質、そして将来の戦略を明確にし、どの「型」が最も自社に合致するかを見極めることです。
信頼できるパートナー選定が、特定技能ドライバー採用という新たな挑戦を成功に導くための大きな助けとなってくれるはずです。

「外国人採用に必要な情報を、効率的に、体系的に収集したい」
「何から始めればよいか、具体的なステップを知りたい」
「同じように検討している他社の話も聞いてみたい」

そのような皆様のために、この度、船井総研ロジでは「ロジスティクスプロバイダー経営研究会 外国人ドライバー戦力化部会」を新たに発足いたします。

複雑な制度や多様な採用ルート、必要な準備など、初期段階で必ず知っておくべき情報を網羅的に得ることができます。
記念すべき第1回部会に限り、【無料】でご参加いただけます。

皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

  • 【開催概要】
  • 開催日時:2025年11月5日(水)13:30~17:00
  • 開催場所:東京ミッドタウン八重洲:船井総研ロジ 東京本社
  • 参加費用:無料(※第1回開催記念)

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【関連資料】外国人ドライバーの受け入れが始まる~特定技能制度の現状と実態~

日本の運送業界では、人手不足が深刻化しており、今後5年間で約20万人の不足が予想されています。これに対応するため、政府は「特定技能」制度を活用し、外国人ドライバーの積極的な受け入れを進めています。

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