特定荷主の基準が決定!何から準備をしたらいいのか徹底解説

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

2025年8月29日、国土交通省は物効法で2026年4月1日から施行される内容のうち、「特定荷主」に関わる内容を定める省令を公布しました。

本コラムでは、特定荷主と判断された企業が早急に準備すべきことと、物流効率化の鍵を握る「物流統括管理者(CLO)」について、その役割を解説します。

義務化される「特定荷主」の準備とCLO選任の重要性

「知らなかった」では済まされない特定荷主の義務

主な公布内容は以下のとおりです。

  • ①年度の取扱貨物量の重量が9万トン以上の場合は「特定荷主」として指定
  • ②「特定荷主」に該当する判断基準となる取扱貨物量の算定方法について明示
  • ③「特定荷主」が行う手続き・義務化(特定荷主指定の届出、中長期計画策定、物流統括管理者選任、定期報告)

上記内容は、公布前から関係省庁より方針として通達されていたため、ある程度みなさんは予想されていたことでしょう。

しかし、「正式な発表が出てから具体的な準備をしよう」「特定荷主と判断されてから社内へ通達しよう」と考えていた方々にとっては、施行まで半年近くなったこのタイミングで準備を進めなければなりません。特定荷主に指定された事業者は、上記③の手続き・届出を怠った場合、罰則が科せられるため、「知らなかった」では済まされません。

CLOの選任がカギ!物流統括管理者との違いを解説

自社が特定荷主に該当するという結果に至った企業の今後想定される対応として、物流部門の責任者が物効法の内容に関して、まず経営層へ報告することになるでしょう。その際に、以下のようなやり取りが発生することが想定されます。

  • 物流部門責任者:「当社は物効法上、特定荷主に該当します。物流効率化に向けた取り組みの推進、推進するためのCLO(物流統括管理者)の選任が必須となります」
  • 経営層:「特定荷主?CLO選任?じゃあ、具体的に何をすればいいんだ?調べて報告してほしい(なんなら、CLOの人選案も提示してほしい)」
  • 物流部門責任者:「(CLO選任って言われても、何をすべき人なのかよくわかっていないんだよな・・)」

ここで、改めて「物流統括管理者」と「CLO」の違いについて整理しましょう。「物流統括管理者」は物効法で定められている、荷待ち・荷役時間削減、積載効率向上等、物流効率化に向けた各種取り組みを推進するため役員クラスの方を選任すると明示されています。

一方、「CLO」ですが、弊社では以下の図のとおり定義をしています。“サプライチェーンが提供する価値を最大限に発揮するための役割”として、CLOの7つの役割を提唱しています。CLOの考え方は企業によって様々ですが、ロジスティクス領域を中心に考えるパターン、サプライチェーン全体を領域として考えるパターンに分かれるでしょう。弊社では長期的な視点でみた場合に後者のパターンで役割を担っていくべきと考えます。

≫ 関連資料「荷主のための2025年下期 物流時流 完全攻略5点セット」のダウンロードはこちら(無料)

さいごに

社内に対してCLOの選任について悩まれている方、また特定荷主ではない方も含めて、こちらの「CLO機能MAP」を参考にしながら経営層へCLO選任、企業としてロジスティクスに求める役割を改めて設定してみてはいかがでしょうか。

【関連資料】荷主のための2025年下期 物流時流 完全攻略5点セット

本資料では、2025年下期に荷主企業が取り組むべきテーマを徹底解説。CLOや法改正への具体的な対応策はもちろん、コスト高騰や人手不足といった喫緊の課題に対し、網羅的に整理しています。

漠然とした不安を解消し、最適な「次の一手」を見つけ2026年に向けて取り組みましょう。

【関連セミナー】CLO専任義務化に備えて荷主企業が今からできること

本セミナーでは、船井総研ロジ  コンサルティング本部  副本部長  田代 三紀子が登壇いたします。

講座概要
・CLOの真の役割と対応すべき業務
・非特定荷主こそCLOが不可欠な理由
・拠点戦略見直しによる荷待ち・荷役時間の削減事例
・大規模物流施設の共創による業務効率化・雇用確保の実践

Pen Iconこの記事の執筆者

田代 三紀子

船井総研ロジ株式会社 執行役員 兼 コンサルティング本部 副本部長

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流戦略策定の支援を行い、物流拠点の見直し、コスト削減策の提案、物流コンペの支援を数多く行ってきた。また、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価(物流子会社評価)を行っている。得意なカテゴリーは、化学、日用雑貨など。また、物流をテーマにした数少ない女性コンサルタントとして、脱炭素、ESGロジスティクス実行に向けた研修やコンサルティングを行っている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

その他の記事を読むArrow Icon

人気の記事

ページの先頭へ