管理職が自然と育つ組織をつくる物流企業の人事制度
最近、管理職育成や管理職不足についてのお悩みやご相談をいただくことが増えてきました。
運送業界では、ドライバー不足や法令遵守の厳格化、2024年問題への対応など、現場の負荷が一段と高まっています。こうした状況の中で、企業の中長期的な成長を支えるのは、現場をまとめる「管理職の力」にほかなりません。
しかし実際には、管理職に十分な教育や制度的な支援が用意されていない企業が多く、営業所長や配車担当などの管理職には、現場のすべてを知り尽くした「できる人」が任命され、その人の力量に依存した属人的なマネジメントが行われてきたのが実情です。
これからの時代に求められるのは、「できる人を待つ」姿勢ではなく、「育てる仕組みを整える」視点です。偶然の育成に頼らず、意図的・計画的に管理職を育てていく人事制度が、経営の安定と成長を支える土台となります。
目次
管理職育成の3ステップ:育てる仕組みを確立する
育てる仕組みを整えるためには、以下の3つのステップを段階的に整備することが重要です。
ステップ1は、管理職の役割や期待値を明確化させることが必要です。「現場の取りまとめ役」なのか、「人材育成の責任者」なのか、「収支管理を担うマネージャー」なのか。求める役割が明確になれば、自ずと必要なスキルや教育内容も定まります。
ステップ2として、管理職として何を基準に昇格させるのか、どうすれば評価されるのかを管理職に求める役割や期待値に対応した評価制度を作成し、評価に応じた等級制度の設定を行います。評価・等級制度を構築することで、個人の感覚に頼らない仕組みに変え、管理職に上がるべき人材の発掘をすることができます。
そして、ステップ3が段階的な教育制度の構築です。管理職育成がうまくいっているある運送会社では、管理職の候補または希望者にはリーダーの心構えやマネジメントの基礎教育を、管理職初級者には部下指導や法令知識教育を、管理職中級者にはマーケティングや収支管理といったような教育カリキュラムを策定、管理職のステップに応じた社内教育の仕組みを整えています。
さいごに
人の入れ替わりが激しく、現場の負担が増す中で、属人的な経営には限界があります。これからは「人に任せる」のではなく、「仕組みで育てる」ことが重要です。管理職を育てる人事制度と社内教育が整えば、組織は安定し、会社の未来を託せる人材が次々と育っていくことでしょう。
これから管理職育成体制を整えたい方は、まず管理職の役割と期待を明確化させることから始めてください。
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