6年でトラックを入れ替える重要な理由

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白石 哲郎

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネス支援部
DX経営グループ グロースクラウドチーム シニアコンサルタント

物流企業に対して倉庫作業員やドライバーの採用支援に主に従事。船井総研ロジの300社以上のクライアントデータから時流を分析し、採用課題改善の提案を行っている。​​

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東京都東村山市にある運送会社は、「6年でトラックを入れ替える」という戦略により、ドライバーの採用力強化、モチベーション向上、そして安全性と経営効率の改善という、多岐にわたる好循環を生み出すことに成功しています。

最も大切な仕事道具に投資し社員満足度が向上

同社は約100台の大型トラックを中心に所有し、約10年前からこの6年サイクルをスタートさせています。同社のトラックは長距離運行がなく、6年間の走行距離はおよそ40万キロ程度と、他のトラックと比較して比較的短いため、売却時には高値で取引される点がこの戦略を支えています。

当初の狙いは、常にピカピカの新しいトラックを用意することで、ドライバー採用における魅力を高めることでした。この狙いは見事に達成され、同社の倉庫に出入りする他社のドライバーからも「この会社に入社したい」という声が上がるほどです。

さらに、この戦略は多くの副次的な効果を生み出しました

①「あと何年で新車に乗れる」とドライバーのモチベーションアップになり定着率が向上した。
②愛車精神がアップし、車両の扱いや洗車が丁寧になった。
③②と関連して車両の安全性能が向上し事故が大幅に減少した。
④③の結果修理費が大幅に低下した。
⑤事故が減少したことで保険料が低下した。
⑥車両購入の交渉力が高まった。
⑦車両の仕入れが安定した

同社の専務は、このサイクル開始当初はキャッシュフロー的に厳しい時期もあったと語っています。しかし、採用難を見据え、「トラックにお金をかけることで、ドライバーを最優先にする会社の思いを伝えたかった」とも述べています。

さいごに

このように、運送会社が「最も大切な仕事道具」に積極的に投資し、社員の満足度(ES)向上に繋げることは、事故減少という分かりやすい成果や、採用・定着率の向上といった経営課題の解決に大きく貢献するといえます。

決して容易な戦略ではありませんが、長期的な視点に立った有効な戦略と言えるでしょう。

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