物流会社からの止まらない値上げ要請への対応方法

Pen Iconこの記事の執筆者

朝比奈 実央

船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部

小売業や卸売業、製造業(自動車、化学品、機械など)といった幅広い分野におけるコンサルティングに従事。特に物流コスト適正化や現場改善、物流リスク評価などを得意としている。

≫ 荷主企業(製造・卸・小売業)向けコンサルティングについて、くわしく知りたい方はコチラ

昨今の物流業界では、燃料費や人件費の高騰、そしてドライバー不足といった複合的な要因により、値上げ要請が止まらない状況が続いています。しかし、荷主企業としては、安易に値上げを受け入れるだけでは、コスト増加に繋がり、企業としての競争力を失いかねません。

そこで、今回は荷主企業の物流担当者が知っておくべき、物流会社からの止まらない値上げ要請への対応方法についてお伝えします。

値上げの対象範囲の明確化

まず重要なのは、値上げの対象範囲を物流会社に確認することです。物流コストには運賃、作業人件費、燃料費などがありますが、今回の値上げ要請がどの費用を対象としているのかを明確にする必要があります。

なぜなら、値上げの対象範囲が明確でないと、物流会社からの要請が妥当かどうかの判断ができないまま物流コストが上昇していき、物流コストの統制がとれなくなるおそれがあるためです。

そのため、物流会社との交渉の場では、値上げの対象範囲を明文化し、メールや書面に値上げ対応の履歴を残したうえで社内での検討を行うことが必要です。

物流効率化の交渉

次に重要なのは、物流効率化の交渉です。実は値上げ要請への対応は、受け入れるか拒否するかという二者択一ではありません。物流会社との協力関係を構築し、物流効率化を図ることで、コストの急激な上昇を抑制するという選択肢もあります。

例えば、積載率向上に繋がる配送ルートの組み直しや共同配送の提案などの取り組みを荷主企業側から提案するというケースも増えてきています。

実際、とある製造業の企業A社では、無駄の多かった1次輸送(社内物流)のルート再編を物流会社に提案し、物流会社からの値上げ要請に対応しつつも最終的な物流コスト増加を現状より若干のコスト増で収めることに成功したという事例もあります。

さいごに

人手不足が深刻化しているなかで物流費の上昇はもはや避けられず、物流会社からの値上げ要請への対応は、荷主企業にとって大きな課題となっています。

しかし物流会社と協力関係を構築し、値上げだけでなく物流効率化もセットで行うことが、この課題を乗り越えていく鍵となります。

ぜひ本コラムを日々の業務に活かしていただければと思います。

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朝比奈 実央

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ロジスティクスコンサルティング部

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