気になる“特定荷主”の基準案が公表
国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省で立ち上げた合同会議にて提示された案の中で、注目すべきポイントの一つが「特定事業者」の基準です。
「特定事業者」に該当された場合は、物流の効率化を進めるうえでの中長期計画作成および報告、荷主企業においては、さらに物流統括管理者の選任が義務付けられます。計画未作成・未報告、物流統括管理者未選任の場合には、最悪の場合罰則(罰金)が科せられることになります。
合同会議で取りまとめられた案は、現時点での「案」ではありますが、今後のベンチマークとなる内容でしょう。
今回は、現時点で合同会議にて検討されている「特定事業者」の対象を整理してお伝えします!
目次
新物効法施行に向けて、荷主企業に求められる対応
政府は2024年5月15日公布された、物資の流通の効率化に関する法律(以下「新物効法」)の施行に向けて、今後新物効法に基づく政令、省令、告示等において、基本方針、判断基準、特定事業者の指定基準等が定められることになります。
この規制的措置が実効性のあるものにするためには、具体的な基準や取組内容に対して、現場の実態を反映していく必要があります。
国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省の合同会議を立ち上げ、各種業界団体からのヒアリングを行い各種基本方針等の案を取りまとめられ、10月26日までパブリック・コメント(※注1)の募集がされていました。今後パブリック・コメントが集約され、最終的な案としての検討が進められていくことになります。
今回、合同会議にて提示された案について注目すべきポイントの一つが「特定事業者」の基準です。「特定事業者」に該当された場合は、物流の効率化を進めるうえでの中長期計画作成および報告、荷主企業においては、さらに物流統括管理者の選任が義務付けられます。計画未作成・未報告、物流統括管理者未選任の場合には、最悪の場合罰則(罰金)が科せられることになります。
合同会議で取りまとめられた案は、現時点での「案」ではありますが、今後のベンチマークとなる内容でしょう。現時点で合同会議にて検討されている「特定事業者」の対象を以下のとおり整理しました。
※注1:パブリックコメント・・・国の行政機関が政策を実施していくうえで、定める政令、省令等に関してあらかじめ案を公表し、情報を募集すること
特定事業者の指定基準
対象事業者 | 基準案 | 該当事業者数(見込み) |
---|---|---|
特定荷主および特定連鎖化事業者 | 取扱貨物量の重量9万トン以上 | 上位3,200社程度 |
特定倉庫業者 | 貨物の保管量70万トン以上 | 上位70社程度 |
特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両台数150台以上 | 上位790社程度 |
※合同会議取りまとめ案より抜粋。現時点の案であるため確定ではない
ここでポイントとなるのが、2点あります。
1.自社が「特定事業者」に該当するかどうか
上記の基準案に対して自社が該当するか確認するためには、自社の取り扱い貨物量を数値で把握できていることが前提です。特に荷主企業においては、販売データはあるが、物流データ、つまり、「物量」を把握できるデータを保有していないことがあります。
「特定事業者」の判断だけでなく、物流実態を可視化するために数値管理をすることが基本です。商品マスタにおける、サイズ、重量の整備状況について確認してみましょう。
2.「特定事業者」に該当しない企業の対応
自社の取り扱い貨物量をチェック後、「取り扱い貨物量に満たないから、特に対策は不要」という考えは厳禁です。今回、取り扱い貨物量に基準を設けたのは、取り扱い貨物量が多い、つまり、物流に対する影響度も高いと捉えているからです。
とはいえ、基準に満たしていない企業において物流の効率化の取り組みが進まないと、全体最適になりません。物流の停滞による経済への影響は、全ての企業においても大きなリスクになります。
さいごに
「自社がやらなくても・・・」ということではなく、各社が今後の物流危機に対する認識をもったうえで、改めて物流面の取り組みを見直してみてはいかがでしょうか。
また、2024年11月13日(水)に、荷主企業に求められる物流管理の視点や、適正な運賃水準把握のためのノウハウなどをお伝えするセミナーを開催いたします。何から手をつけたらよいのかわからない、という方はぜひご受講いただき、今後の取り組みの参考になさっていただけたらと思います。
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