物流センター選定において忘れてはいけない3つの観点

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山路 翔吾

船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部

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拠点配置検証によって物流センターのエリアや機能が固まれば、次のステップは具体的な物流センターの選定です。物流センターの選定は、それまで拠点配置検証の軸としてきた経営戦略や物流戦略を実現化するための重要なステップです。※委託先選定を合わせて行う場合はこの限りではない。

本コラムではエリア・機能以外にも必要な検討要素として、保有形態、自社の成長性、人材の確保の3つの観点で、物流センターを選ぶ際のポイントを解説します。

保有形態:賃貸契約、自社保有のどちらを選ぶべきか

物流センターを利用するには、賃貸利用と自社保有の選択肢があります。賃貸利用のメリットは、初期投資が少なく、短期間で立ち上げることができる点や自社状況・外部要因に合わせて賃貸契約を解消することできる点です。※契約内容に基づく。

ただし、賃貸利用を行う場合、原状回復が必要な場合や、使用可能な機械やマテハンに制限があり、自社保有の物流センターと比較し自社にとって合理化された設計が難しい点には注意が必要です。

一方で、自社保有の場合は立ち上げ時の初期費用の負担が大きいですが、自社資産となるため、保管費の値上げリスクもなく、投資回収期間以降は安定してコストメリットを享受できます。ただし、市場動向や自社の事業成長・進捗に応じて、当初の設計・試算と乖離が生まれた場合、柔軟に対応することが難しくなってきます。

自社の成長性を考慮した物流センター選び

物流センターの最低契約期間は3年~5年で設定されているケースが多いため、自社の事業戦略や取り扱いSKU数の拡大を考慮し、倉庫の規模を慎重に決める必要があります。

選定時点での取扱物量だけでなく、将来的な物量増加にも十分に対応できるキャパシティを持つセンターを選ぶ、あるいは規模感に応じた対策を事前に検討し、選定することが求められます。将来的な市場の変化に柔軟に適応し非効率や機会損失を発生させないことが重要です。

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人材の確保or自動化による省人化

ドライバー不足だけでなく、物流センターの運営においても人的資源の不足は大問題です。物流センター運営においてもマテハンによる自動化・省人化は取り組まれているものの、作業が全てマテハンに代替され、人材が不要になるということは現時点では考えにくいです。

そのため、物流センターの選定においては人材確保の現実性・容易さ(コスト効率を含め)も重要ポイントとなります。倉庫周辺は働き手が豊富であるか、近隣に人材の取り合いになるような工場や他社センターが無いか、通勤時の交通利便性は整備されているのか等を考慮する事で、あらかじめ、人材確保における見通しを確認しておくことが重要です

さいごに

上記のように具体的なセンター選定においては、拠点配置検証の段階では語られない検討すべきポイントがあります。長期的な視点で、内部・外部の環境変化に対応できる柔軟性を意識する事がセンター選定における成功の鍵です。

また、あるべき物流拠点配置の変遷には終わりが無く、絶えず変化するものです。そのため効率性や競争力を失うことなく、持続的に成長する事が求められます。センターの選定は拠点配置検証の最終段階ではありますが、慎重に検討を行うことが重要です。

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