納品条件と最適な輸送手段

Pen Iconこの記事の執筆者

山路 翔吾

船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部

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トラックによる輸配送手段には路線便、宅配便、チャーター便、共同配送便等がありますが、これらの選択は納品先と締結した納品条件に依存します。納品条件の中でも各社各拠点にとっての最適な輸配送手段は納品リードタイム、1荷卸先当たりの納品物量、付帯作業の有無が特にポイントとなります。

今回はこれらの納品条件と各輸配送手段の関係について解説します。

納品リードタイムによる選択

納品リードタイムについては当日納品が求められる場合、迅速に商品を届けるため、あらかじめチャーター便の利用を想定することが一般的です。チャーター便は1車貸切となるため、他社の荷物との混載は無く、指定された時間に確実に納品する事が可能です。

しかし、運賃が固定化されるため、一定量の荷量確保が難しい場合は路線便や宅配便より高くなる傾向があり、コストの観点で注意が必要です。

一方、翌日納品の場合は、路線便・宅配便等、様々な手段の利用が可能です。路線便・宅配便は全国規模で輸配送ネットワークを持ち、かつ店舗や個人宅など配送先に柔軟に対応可能である点に強みを持ちます。

1荷卸先当たり納品物量(ケース/件・kg/件)による選択

1荷卸先当たりの納品物量については納品物量が1~3個/件程度の場合、小口配送に特化した宅配便の利用が最もコストを抑えることができます。一方で個口数が多くなる場合は、路線便の方がコストを抑えられるケースがあります。さらに多くの個口数の配送となると、チャーター便の活用が選択肢に含まれます。

また、小口での配送は共同配送なども選択肢の一つとなります。共同配送は、複数の荷主が特定ネットワーク内で荷物を混載することで、輸配送コストの削減や輸送効率の向上が可能です。但し、各社との連携の上で成り立っている手段であるため、臨機応変な対応が難しい事や積載荷物の荷姿に制限があるといった懸念もあります。

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納品先別の付帯作業による選択

重量物の積み降ろし作業、精密機械品の養生作業、納品先での棚入れ作業といったイレギュラーな条件が加わる場合は、路線便での取り扱いが難しいことがあります。路線便は他社の荷物を混載し、決まった時間で運行する必要があるため納品先ごとに個別の対応を行う事が困難です。

そのため、このような状況では、チャーター便もしくは対応可能な共同配送便を選択する必要があります。単に物量やリードタイムのみならず、納品先での付帯作業も輸配送手段の選択の重要なポイントです。

納品条件の見直しによるコスト効果

輸配送手段は拠点配置設計と同様、あらゆる選択肢の中から比較検討する必要があります。上述のように各輸配送手段の特徴を総合的に評価し、現在自社が締結している納品条件と照らし合わせ、輸配送手段を選択することが重要です。当日納品や付帯作業が必要な場合にはチャーター便を選択する必要がありますが、そうでない場合には路線便や宅配便も選択の対象となります。

納品先のニーズは日々変動しています。双方で密にコミュニケーションを取り、納品スケジュールや条件についても理解を深める姿勢がサービスの質を高め、長期的な関係構築に繋がります。

さいごに

船井総研ロジでは、「物流拠点配置」にテーマを当てた、メルマガシリーズを定期配信しています。是非、次回以降も拠点配置メルマガをお読みください。

また、2024年10月10日(木)には拠点配置検証をテーマとしたセミナーを開催いたします。本セミナーでは拠点配置検討の全体像、現状把握の進め方、拠点配置仮説案の検証・評価方法などについてお伝えいたします。新拠点構築を検討されている方、アイディアはあるが比較・評価方法が分からないという方などに必見の内容となっております。是非ご受講いただき、拠点配置検証の流れのイメージを掴んでいただければと思います。

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