Win Winな海上運賃交渉を行うためのヒント
昨春底値を付けた国際海上輸送コンテナ運賃は韓国船社・韓進海運の倒産を機に反転しました。
年が明けても中国の短期市況は回復傾向にあり、足元で行われている日系荷主の来期運賃交渉も欧米航路を中心に値上げ交渉が行われています。
毎年大きく上がったり、下がったりの市況に振り回され嫌気がさす交渉ですが今日はそんな運賃交渉において荷主へのアドバイスを1つお伝えしたいと思います。
運賃交渉の新たな視点
フォワーダーや船会社の選定とその運賃交渉の際に荷主が注目する点は主に運賃とサービス内容です。
複数社でコンペをする場合、各社から提示された運賃レベルが高いか安いか?
また来期の予算に合うレベルか?そしてそのサービス内容や輸送日数は自社の要件に沿った内容か?など比較した上で取引先を選定します。
今回はそんな交渉においてもう1つ新たな視点を持って頂くヒントをお伝えします。
コンテナ船社は実は莫大な費用を掛けて空コンテナを余剰地域から不足地域へ回送しています。
例えば、北米航路においてアジアから北米に向かうコンテナ貨物は月間120万本を越えますが、北米からアジアに貨物を積めて返ってくるコンテナ本数は60万本程度…
つまり、極端な話ですが残りの60万本は空コンテナとして回送されていることになります。
空コンテナの回送も船への積み揚げなど費用は掛かりますが空のまま放置しておけばコンテナがどんどん溜まっていく一方で、何より商売道具を遊ばせておくわけにいきませんから船会社は費用を掛けて需要地に回送しているのです。
この船会社にとっての大きな空回送費用に視点を向ければ、場合によっては他社よりも競争力のある運賃を引き出せるかもしれません。
そこで今回、日本の主要港のコンテナ貨物の輸出入バランスを調べると、日本でも輸出が多い港・輸入が多い港・輸出入のバランスが取れている港等、分かれていることが分かりました。
例えば、東京港は大消費市場が後背地にある典型的な輸入港(=コンテナ余剰地域)ですが、横浜港は輸出港(コンテナ不足地域)です。
そこで、例えば、輸出企業で現在横浜から出荷している場合積込み港を東京に変えることはできないか?
もしくは空コンテナを東京で引き取り横浜へ出荷することができないか?を検討してみるのです。
もし、それが可能であれば船会社は回送費用を削減でき運賃を下げる原資ができることになります。
この点を明確にした上で交渉すれば双方にとってメリットのあるWin Winな契約が結べます。
もちろん今回の分析ではコンテナタイプは考慮されておりませんし、例えば倉庫の都合上それができない、船会社によって東京は余剰地域ではない等、様々な状況によりますが、コンテナ在庫に注目することで競合他社よりも良い条件が取れる可能性があることも考慮にいれた交渉を今回お勧めいたします。