努力義務だからといって取り組まないのはNG!物流における自主行動計画策定の重要性

西川琉瑠

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西川 琉瑠

船井総研ロジ株式会社
ロジスティクスコンサルティング部

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物流の2024年問題解決に向け、政府は自主行動計画の策定を呼び掛けています。

2023年6月に発表された「物流革新に向けた政策パッケージ」では、トラックドライバー不足への対応策として、自主行動計画策定の措置を促しています(図1)。

そこで本コラムでは、自主行動計画を策定する重要性と策定しない場合に起こり得る最悪のケースについて説明いたします。

図1 内閣官房「物流革新に向けた政策パッケージ」より一部抜粋

荷主企業の取り組み状況

自主行動計画の策定はあくまでも「努力義務」とされています。そのため、実行にまで移す事は考えていないといった荷主企業が多いでしょう。

以前、弊社が荷主企業を対象に実施したアンケートの結果を見ると、自主行動計画について把握している企業は約60%でした。対して、実際に策定にまで至っている企業は約30%であり、ほとんどの企業が未着手であることが分かります(図2)。

「物流革新に向けた政策パッケージ」では、自主行動計画の策定に関しては速やかに実施すべき事項とも述べられていますので、2024年以内には策定に取り掛かる事が理想的であると言えるでしょう。

           図2 船井総研ロジセミナー参加者へのアンケート内容より作成(2024年4月~5月実施)

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自主行動計画策定に取り組まないと起こり得るリスクとは

自主行動計画を策定すると、運送契約の内容見直しや、物流業務全体の工数、ドライバーの労働環境等、現在の自社の物流実態が可視化されます。裏を返せば、自主行動計画の策定に取り掛かれていない荷主企業は、現在の物流実態に問題があっても気づくことが出来ません。

もし、ドライバーにとって負担が大きい運送形態をこのまま続けた場合、ある日突然運べなくなる…といった最悪のケースを招いてしまうかもしれません。また、手積み・手降ろしによる荷役作業や長時間の待機時間が常態的に発生し、かつ、改善されない場合は、「荷主勧告制度」によって企業名を公表されてしまう恐れもあります。

「あの時、対策に踏み込んでおくべきだった…」と後悔しないためにも、まずは自主行動計画を策定する事で、自社の物流における問題点を可視化し、解決の糸口を探ることが重要です。

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運送会社に選ばれる未来を目指して

今後ドライバーが更に不足した場合、運送会社にとっては「運びやすい荷物」や「働きやすい労働環境」が契約締結の際の判断基準となるでしょう。ドライバーに選ばれる荷主企業を目指すためにも、少しでも早く対策を打っておく事が重要です。

上記の内容は、ESGロジスティクスのSocial(労働環境改善、2024年問題対応)やGovernance(コンプライアンス、リスクマネジメント)にも直結する内容となるため、まだ自主行動計画を策定出来ていない場合は、早速実行に移しましょう。

西川琉瑠

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