事業継続のために、荷主企業が持つべき物流に対する目線とは
物流業界における一つの転換期ともいわれる2024年も早いもので既に6か月が経過しました。テレビでも長距離ドライバーへの密着取材などの特集が組まれ、長時間労働の実態がようやく世間に浸透し始めたように感じます。
しかしドライバー不足の危機を回避する特効薬はなく、物流事業者・荷主企業・その他の関係者の協力体制構築に頼らざるを得ないのが実情です。このような環境の中で、荷主企業においては物流に対し、どのような視点が必要なのかについてお伝えします。
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持続的な企業活動を行うためには顧客・得意先との協力が必須
従来、理想とされてきた物流とは「欲しいものを、適正な時(タイミング・頻度)に、適正な量で、適正な状態で届ける」ことでした。しかし、今般の制限がある中ではいずれかの要素については目を瞑らなくてはいけない事態となっています。
欲しいものを変更したり(商品A→商品B)、適正な状態を変えること(冷蔵→常温)は難しいため、選択肢として残るのは量と時間の変更となります。つまり、発注ロットの集約と配送頻度の圧縮です。ここに着手せず漫然と従来通りの少量多頻度発注を続けていては事業継続が困難になるといっても過言ではありません。
当然のことながら実現させるためには着荷主である顧客・得意先の協力や理解が必要になりますが、その前にまずは自社内での働きかけが必要になります。
これまでは作りすぎのムダ削減や長期滞留在庫の解消といったコストダウンの観点から製販コミュニケーションが必要とされてきました。しかし、2024年以降は物流会社に運んでもらう安定物流体制の構築を目的として製販物の連携がより一層求められる環境となってきました。
問題が発生した時にだけ製販物のコミュニケーションを図るのではなく、普段から定期的に製造ロット・販売ロット(受注ロット)・輸送ロットを検討することで持続的な企業活動が実行できると言えます。
今必要なのは自社を含むサプライチェーンを俯瞰してみる機能
未だに荷主企業の多くで2024年問題に頭を抱えているのは物流部門だけで、製造部門や営業部門(場合によっては経営層)は物流部門に任せきりになっている実態をよく耳にします。物が運べないということはすなわち、販売物量が制限されることであり調達物量が制限されることになります。作りたくても作れない、売りたくても売れない状況に陥る可能性が限りなく高くなるということを認識しなければなりません。
販売における物流だけでなく、調達における物流にも目を向けるために自社を含むサプライチェーンを俯瞰してみる機能が求められます。その一つとして挙げられるのが物流統括管理者です。2024年2月に一定規模以上の事業者を特定事業者と指定し、物流統括管理者(CLO)の選任の義務付けなどを盛り込んだ『流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案』が閣議決定されました。
物流統括管理者の役割は何か、導入状況はどうなのか。他社動向が気になる企業も多いかと存じます。7月30日(火)のLLS(ロジスティクス・リーダーシップ・サロン)では国土交通省 物流・自動車局の方をゲスト講師として招き、物流業界への働きかけ・取組について講義いただきます。ご興味をお持ちの方はこの機会を逃さず、ぜひ聴講ください。
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