委託企業からの値上げ要請|物流担当者が知っておきたい対応方法について

井上真希

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井上 真希

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業・小売業・ECを中心とした荷主企業に対して、物流倉庫の改善提案・在庫の適正化・管理の提案を行っている。また、物流子会社の評価や在庫管理・分析を得意とし、分析を軸にした物流改善にも従事。近年は、サステナビリティ・ESG領域における専門的な物流コンサルティングにも取り組んでいる。​

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「委託企業からの値上げ要請」「社内からの物流コスト削減(抑制)の要求」など委託企業と社内への対応方法について悩まれていませんか?

委託企業と社内の板挟み傾向にある荷主企業の物流担当者からはその対応方法についてご相談を頂くことが2023年以降、次第に増えてきました。

今回は、委託企業からの値上げ要請に対して物流担当者として抑えておくべき対応方法についてご紹介します。

物流コストの内訳を理解する

まず物流コストの種類は以下のように区分されています。(図表①) 物流に対して発生している費用の内訳を把握する必要があります。

 (物流コストの種類|図表①)

委託企業からの値上げ要請|物流担当者が知っておきたい対応方法について_船井総研ロジ

物流機能別構成比は、日本ロジスティクスシステム協会 (2021年度)によると輸送費が 54.3%、保管費が17.0%、その他(包装費、荷役費、物流管理費)が 28.7%と発表しています。

値上げ要請の例と対応方法について

今回は青く網掛けした物流コストにおける値上げ要請に関する相談内容とその対応方法についてご紹介します。

値上げ要請例①|高速道路利用による高速代の要求

➡国土交通省(標準貨物自動車運送約款)による指導内容では適正な運賃・料金を収受する為、高速料金を明確にして運賃とは別立てで支払うことが義務付けられています。

荷主企業としては高速代の要求に対して精査を行わずに支払うのではなく、高速道路利用に関する理由や根拠を確認し、指定納期などの依頼事項について、法令遵守に基づいた観点において社内で精査した上で対応する必要があります。

値上げ要請例②|入出庫料及び保管料の値上げ要請

➡委託企業から入出庫料及び保管料の値上げ要請が一斉に来ているが値上げ幅(相場感)の妥当性が判断できないといった相談を受けます。

まず行うべきは現状のコストの構造分解を行い、どの項目が値上げ対象となるのかを正確に把握することです。人件費の上昇分を吸収する為であるのか2024年問題対策としてなのか、値上げ内容を確認しておかなければ、今後、段階的に値上げ要請が来る可能性もあります。値上げ要請に対して総点検をする場のような関所を配置し、適正な対応方法を管理する必要があります。

また、保管料の値上げに関しては自社の保管状況を把握することも重要です。現場を視察し、保管スペースの効率化が図れているか、また自社に適した保管方法の見直しを行う必要があります。入出庫料に関しては、作業者への負荷のかかる作業内容(手作業等)やバラ出荷の構成比の変化など把握する必要があります。

値上げ要請の背景と根拠を理解する

委託先からの値上げ要請に対して、荷主として問題となるのは値上げ要請に対応しないことですが、「対応しないこと」そのものが問題ではなく、「値上げ内容の合理的な裏付けを求めない」「不明確な要素単価が暗黙知化している」ことが問題です。

物流コストに関して「とにかく削減・抑制できれば良い」、「値上げ要請に対してとりあえず対応姿勢を示せば良い」という考え方の基には物流コスト削除(抑制)及び物流管理の仕組み化を実施することはできません。

値上げ要請に対してどの単価要素において何故値上げを行うのかその背景や根拠を明確にすることが重要です。

さいごに

船井総研ロジが提供するの“物流コスト妥当性評価”では、貴社物流コストの構成要素を明確にし、コストに対して妥当性があるかどうかを評価します。運賃・荷役料・保管料などの妥当性を検証し、委託先からの値上げに備えませんか?「値上げが妥当なのか判断できない」「値上げによる影響を経営層に理解してもらえない」といったお客様は、ぜひ“物流コスト妥当性評価”をご活用ください。

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チームリーダー チーフコンサルタント

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