“物流子会社”の意義が問い直される時代
昨年は”物価上昇”が大きくフォーカスされ、長い間デフレが続いていた日本にとっては一つの転機を予感させる年だったのではないでしょうか。また、呼応する様にして日経平均株価も最高値を更新し、いよいよデフレ脱却を感じさせる一方、賃金や消費の上昇についてはこれから、という印象は拭えません。特に今後期待されている賃金上昇における物流業界への影響は、様々な観点で大きなものと想像されます。
今回は直近で多くの変化を控える物流業界において、”物流子会社”の視点でどの様に変化に対応していくのかを考えていきたいと思います。
親会社に依存する物流子会社は会社存続すら危うい?
創設期の物流子会社は、親会社の事業や業務の特性を熟知した専門の物流会社であり、グループや社内の物流業務を統合する事で、おのずとスケールメリットや業務の効率化が提供できるといった価値を有していました。
ところが、昨今の物価上昇、かねてからの人手不足の一層の深刻化、コンプライアンス遵守の要請により委託先企業のマネジメント難度はどんどん上昇し、親会社の物流業務を引き受けるだけでは、これまでの便益を提供できなくなっています。
そんな中で、外部企業の資本を受け入れる物流子会社も出現し、親会社の物流子会社に対する評価は益々客観的になってきました。グループの一角として、その”存在意義”を定義し、示す事が出来なければ存続すら危ぶまれる環境と言うことができます。
存在意義の示し方と強みと弱みの評価ポイント
親会社への貢献。すなわち存在意義の示し方は大きくわけると上記の2つの要素が考えられます。特に「②外貨の獲得」は非常に難易度が高く、今回はノウハウ/強みの外販を取り組む上で必要なポイントについて順を追って見ていきましょう。
まず、どんな会社にも強みと弱みが表裏として存在しますが、限られたリソースの中においては、当然注力するポイントを絞り込む必要があります。そこで特に注力したいのがマトリクス内の「強み×市場機会」を有する象限です。
この時のポイントは、自社単独の強み×機会というミクロの視点ではなく、グループ全体のリソースやノウハウも含む強み×機会、あるいはパートナー企業との協業・補完関係により生み出される強み×機会といったマクロの視点で考える事が大切です。
普段の事業活動に成長のヒントが眠っている?
「強み×機会」を有する領域で外販向けの新サービスを創出し展開する上で、「現状把握」をベースとしながら大きく3つの取組みを進めていきます。
大きなステップとして、「現状把握」を経て、ノウハウ、機能、品質、コスト等の競争力について「強みの分析」、今後想定される「環境変化やトピックス」調査、今後注力する「市場の絞り込みと分析」となります。
どのステップも大変重要ではあるものの、特に重要となるステップに「現状把握」があげられます。現状把握は後続の全ステップの下地となる領域です。また、現在存在する「売上」は市場の納得と共感の大きさであり、「利益」はお客様からの期待値の大きさという様に、ここには市場からの客観的な評価が詰まっています。自社が普段何気なく提供している価値を知る上で、大きなヒントが眠っている可能性が高いといえるでしょう。
【関連するコンテンツ】ロジスティクス・リーダーシップ・サロン
船井総研ロジでは、荷主企業(製造業・卸売業・小売業)の物流責任者や担当者が集う情報交換コミュニティ「ロジスティクス・リーダーシップ・サロン」を運営しています。
他の会社はこの変革期にどのように動いているのか?対応はどこまで進めているか?進めるための弊害はどのようにクリアしているのか?知りたくないですか?
当会合ではリアル開催で、直接担当者が集まることで様々な物流課題(2024問題・共同配送・行政方針対策・コスト削減・業務改善・ESGなど)について意見交換します。
ご興味ある担当者様は是非一度参加ください。お試し参加も可能です。
くわしくは資料をダウンロードいただき、内容をご確認ください。