冷凍倉庫・冷蔵設備のフロン規制とは 供給不足のカウントダウンは始まっている!?
コンプライアンスが重視される現代において、企業は将来の法改正及び規制を把握し、細心の注意を払う必要があります。
2024年を迎え、物流業界における働き方改革関連法の適用まで残すところ約2カ月となりました。対策として、多くの企業が奔走された、もしくは現在進行形で奔走されていることかと思います。
但し、物流業界に影響を及ぼす規制は残業時間規制だけではありません。残業時間規制に隠れているものの、今後対策が必要となる取り組みとして「フロンガス規制」が挙げられます。今回は、冷凍・冷蔵設備におけるフロン規制について、国内の冷凍・冷蔵倉庫が置かれている現状を踏まえてお伝えしていきたいと思います。
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目次
フロンとは?
フロンガス(以下、フロン)は、燃えにくい、化学的に安定、人体に毒性がない、液化しやすいといった利点を持つ化学物質で、CFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)の3種類があります。
日本では、1980年代にアンモニア冷媒による事故が発生し政府はフロンへの切替を誘導した経緯があります。現在フロンは、エアコンや、ショーケース、自動販売機、そして今回の主題である冷凍・冷蔵倉庫の冷媒機器として活用されています。
しかしながら、フロンには大きなデメリットがあります。
フロンを取り巻く世界・国内での取り組み
これまで幅広く活用されてきたフロンは、オゾン層破壊の原因であることや非常に大きな温室効果があるというデメリットを持つことから現在では削減の対象となりました。
フロン削減に向けた取り組みは国際的に行われ、日本でも法制度が制定・改定されています。
国際的な取り組み
国内の法制度
モントリオール議定書では、オゾン層を破壊することで知られている「特定フロン(CFC,HCFC)」は2030年に生産全廃が決定しています。従来特定フロンを活用してきた設備は2030年までに、「代替フロン(HFC)」もしくは、オゾン層を破壊せず温室効果の小さな「自然冷媒(CO2、NH3等)」への転換が求められます。
フロン対応と老朽化により、2030年には冷凍・冷蔵倉庫の不足が懸念される
上述の通り2030年までに冷媒設備の転換が求められますが、その際には多額の設備投資が必要となります。そのため投資対効果や、企業体力の観点から、老朽化している倉庫の多くは、冷媒転換への投資ではなく、一斉に廃棄されるといった予想もあります。
冷凍・冷蔵倉庫においては、倉庫の老朽化も課題となっています。現在、国内に立地する営業冷蔵倉庫のうち、約半数が築30年以上経過しています。(国土交通省より)
フロン対応と老朽化という2つの課題により、2030年には冷凍・冷蔵倉庫の供給が不足する『冷凍・冷蔵業界の2030年問題』発生のリスクがあるといえるでしょう。
変化を好機と捉え、自社物流の進化に繋げる
企業は法制度や情勢の変化に順応せざるを得ません。しかしながら、その対応はどの企業にとっても初めての取り組みであり、先進的に取り組んだ企業では新たなビジネスチャンスや経済的メリットを得る可能性が高まります。変化を危機と捉えるか、好機と捉えるかは、貴社次第です。
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