物流コンサルタントの視点 2018.11.22

拠点見直しの前に、まずは身近なBCP対策を

2018年10月23日に開催いたしました「物流BCPが変わった!これからの物流BCPの検討ポイント大公開」セミナーは多くの方に聴講いただき、大きな反響を頂戴しました。

近年では大きな災害に見舞われる可能性を身近に感じることが多く、災害対策・BCP対策に関心を持たれている方がとても増えていると感じます。

一方で、「何から手を付ければよいのか分からない」「費用対効果が低いため対策実施に二の足を踏んでしまっている」「コストをかけてまで対策すべきなのか」といった声を聞くこともあります。

確かに災害は発生の予測が難しく、対策を講じた効果が実感しにくいものであることは確かです。

しかし今や、あらゆる災害を「想定外」と一蹴するのは非常に危険であり、そのような考えのもとで事業を行っている企業または組織の社会的価値に対しては疑問符を投げかけられてしまうと言っても過言ではありません。

地震・津波・洪水だけでなく、このところは毎年のように観測記録を塗り替えるような豪雨や豪雪、大型台風の襲来など日常生活をも脅かすような気象の変化に直面しています。

“いつ来るかわからない災害”が“いつ来てもおかしくない災害”に変わっていることに対応することが求められています。拠点の配置そのものは、地盤のゆれやすさや液状化の可能性、津波の想定等を各地域のハザードマップで確認することができます。

また周辺の道路規制についても管轄の警察が資料を公開している場合が多いので、情報を収集するのは難しくないと思われます。

かたや既存の倉庫もしくは物流センターではどのような対策を練ることが考えられるでしょうか。

まず一つ目は重量物を上段に保管しないことです。保管においては重いものを下段に保管することが原則ではありますが、未だに2段目・3段目に重量物を保管している現場を見かけます。

このような保管方法は荷傷みが進行するだけでなく、保管の重量バランスが悪くなり地震発生時には倒壊の危険性も高まります。

液体物を上部に保管している場合も早急な対策が必要です。

なぜなら貨物が倒壊した際に落下・飛散し他の貨物に影響を及ぼす可能性がありますし、清掃の必要性が発生した場合には出荷が大幅に遅延もしくは停止してしまう事態も十分に考えられるからです。

二つ目は自動化に傾倒しすぎない事です。

自動倉庫やロボットの導入は人手不足を解消し作業生産性を高める手段として有効であり最近のトレンドではありますが、有事の際はインフラにも大きな影響を及ぼすため十分な電気の供給がされないことも想定されます。

電力に頼らない物流体制を整えておくこともBCP対策の一つと言えます。

もちろん自動倉庫やロボットに頼らない従来の倉庫であっても、ネステナーや中軽量棚等のマテハンを固定して倒壊を引き起こさない対策が求められます。

棚の組み換えやレイアウト変更に柔軟に対応したいが故に固定しないまま什器を使用している倉庫や物流センターはまだまだ多いのが現状です。貨物の保護、就労者の安全確保のためにも徹底することが求められます。

BCP対策というと拠点の再配置や見直しが取り沙汰されますが、最適解を見出すためのシミュレーションには時間と手間がかかりますし、いざ実行する段階では在庫が分散されるため在庫コストと管理コストが増加します。

物流拠点の在り方の検討は必要ですが、大がかりなBCP対策に乗り出す前にまずは現行の物流体制の中で膨大なコストを投じない範囲での対策を検討してみてください。

弊社では物流BCP診断、物流BCP策定をサービス展開しております。
この機会に是非、弊社のサービスをご活用ください。

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 チーフコンサルタント

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