来期の海運コンテナ運賃市況を読む

船井総研ロジ

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前回の私のメルマガで海運市況は需給バランスの動きを見ていくことで,ある程度は読むことができると述べました。
では実際来期はどうなるのでしょうか?
今回は私たち船井総研ロジが来期の日本出し輸出運賃市況をどのように見ているかを簡単ではありますが紹介致します。

結論から申しますと、来期の日本出し欧米向け輸出貨物の年間運賃は、値上げはなく現状維持もしくは若干の下方調整が入ると現時点では考えております。
これまでの市況を振り返りながらその理由を説明致します。

今期交渉の振り返り

史上最安値を記録するなど大幅値下げの環境の下、韓国船社倒産まで起こった激動の2016年の反動により、2017年の運賃交渉は荷主にとって厳しい値上げに終わりました。

8月末に世界7位の船会社が倒産し60万TEUもの船腹が一定期間止まったことは緩んでいた需給バランスにも大きな影響を与え低迷していた中国出しの短期運賃市況は反転しました。
そして日本でもその影響を引きずったまま年間運賃の交渉に突入し値上げ基調になりました。
このように日本市場を予想するには中国市場を主としたマクロな視点で需給バランスと運賃動向をみていくことが必要です。

欧米など基幹航路においての日本出しの物量シェアは5%もありません。
一方で中国出しの物量シェアはおよそ70%(香港含む)もあり日本市場は否が応でも中国市場の影響を大きく受けてしまうのです。
特に日本市場で年間交渉が行われる12月~3月の中国市場の動きを見ていくことが大変重要になってきます。

最新のマクロの需給バランス

最新の日本海事センターの発表によりますと2017年の欧米航路の荷動きは7月までの累計で前年比5%増の実績となっております。
これからはクリスマス商戦向け貨物などが一服し、閑散期には入っていきますので更なる伸びは期待できませんが、全航路合算で2-3%の増加が見込まれております。

一方供給面ですが韓国船社倒産の話は落ち着き、今年3月には商船三井社が世界最大となる2万TEU型船を竣工させました。
これから下期にかけても次々と超大型船の投入が予定されており2017年全体で3-5%程度の増加が見込まれております。
つまり荷動きが堅調に増加している一方供給増がそれを吸収しているのです。

日本出しも足元ではスペースに余力のある船社もあるという荷主企業の声もあります。
それは足元の中国発短期市況にも現れており上値は重く9月の値上げも不発に終わるなど下落傾向です。
今後は閑散期に入り需給環境が引き締まる要因は今のところなく日本の交渉で重要な12月以降の中国発の運賃市況も小康状態が続くのではないかと予想しております。

このような状況下、昨年値上げされた日本出し運賃も、まだ採算点を越えないレベルとはいえ、昨年に続き強気に出られる環境にはなく、現状維持か若干の調整が入る程度と見ております。

尚、欧米航路とは異なり船社数が多く慢性的に競争が激しいアジア域内や日中航路は、来期も状況は変わらないと見ております。
唯一状況が異なるのは船社数が減り運賃高騰を続けている南米東岸航路です。
5-6月には40ftコンテナ換算で7,000ドルを越えるなど他の航路とは様相が異なっております。
足元では若干の調整が入っておりますが来期の交渉において値上げの対象になるかもしれません。

邦船3社の新会社が活動を開始し、中国船社が香港船社の買収を発表するなど船社の合従連衡は今も続いており日々状況は変わっていきますが弊社は引き続きマクロの需給バランスと中国発短期市況を注視して参ります。

当社の物流コンペメニューではこのような最新の時流を踏まえた失敗しない物流業者・船社選定となるよう支援させて頂いております。ご興味のある方は是非お問い合わせ下さい。

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