時間外労働の改正における長距離輸送の問題点

船井総研ロジ

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荷主企業としては、現状顧客へ提供していますサービスレベル(時間指定・リードタイムの短縮・安定した供給)の維持は欠かせませんが、現代社会は急速に進化しています。

政府は働き方改革の一貫として2017年2月に残業時間を月平均60時間、年間720時間に設定する方針を示しました。

繁忙期は例外として月100時間未満の残業を認める方針で、2019年度にも導入する予定で進めています。

建設業や運送業は5年の猶予期間が設けられていますが、国土交通省の「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」によると、ドライバーの1運行における拘束時間は平均して12時間26分であり、且つ長距離においては16時間34分であることから、運送業でも早い段階で適用される可能性があります。

■ 1運行の平均拘束時間(車種別)

出典:国土交通省「トラック輸送今日の実態調査結果(全体版)」

■ 1運行の平均拘束時間(走行距離別帯)

出典:国土交通省「トラック輸送今日の実態調査結果(全体版)」

時間外労働の改正が適用された場合、運送事業者はトラックにおける長距離輸送(特に500km以上)に関して複数の中継拠点の設置やドライバーの2マン体制などの対策を講じる必要が出てくるため、これまでの運賃で現状のサービスレベルを維持することは難しくなる可能性があります。

そこで、今回は関東発の中朝距離輸送に着目し、どの区間で影響が生じ、今後どのような対策を荷主として考えていく必要があるのか少し解説したいと思います。

【関東発における貨物純流動量(輸送機関:1車貸切)】

下記は、国土交通省が発表している全国貨物純流動調査(物流センサス)2005年、2010年、2015年の調査結果(3日間調査)を基に、関東発の貨物純流動量(代表輸送機関別:1車貸切)をまとめた表・グラフです。

調査期間:3日間、単位:トン

関東発の2005年、2010年、2015年を年対比で見ると、2010年は減少していますが、2015年は増加していることが読み取れます。

ここで、注目して頂きたいのが関東→関西エリアです。

2015年における2005年・2010年対比で見ると共に増加傾向であり、年々増加していることから、今後も増加する可能性は否定できません。

関東→関西は輸送距離が500kmを超えるため、今後時間外労働の改正により値上げの影響を受けやすい区間と考えられます。

では、具体的に関東→関西でどの都道府県が増加しているのか具体的に見てみましょう。

下記は、国土交通省が発表している全国貨物純流動調査(物流センサス)2005年、2010年、2015年の調査結果を基に、関東発→関西(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)着の貨物純流動量(代表輸送機関別:1車貸切)をまとめた表です。

調査期間:3日間、単位:トン

表から、関東発→関西着で最も流動量が多いのは大阪着であり、全体の55.7.%(過半数)を占めていることが読み取れます。

関東→大阪は輸送距離500kmを超える区間であり、年々増加傾向にあることから、今後時間外労働の改正の影響を受けやすい区間と想定されます。

流動量が増大している=輸送車両台数も増大しているため、時間外労働が改正された場合、現状の運賃では輸送できなくなる可能性があります。

荷主としても何かしらの対策を講じる必要があるでしょう。

具体的な対策については、 在庫拠点の複数設置、モーダルシフト、共同輸送などが挙げられます。

各対策の詳細は当社ホームページに掲載していますのでそちらをダウンロードして頂ければ幸いです。

荷主として現状の運賃を維持するためにもまずは行動あるのみです。

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【ダウンロード資料】時間外労働の改正における長距離輸送の問題点と解決策

概要
昨今の働き方改革・時間外労働の改正により、今後の長距離輸送が注視されています。
今回はその問題点と解決策について解説致します。
ダウンロード
https://logiiiii.f-logi.com/documents/know-how/problems-and-solutions-for-long-distance-transportation/

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