社会保険の選択的適用拡大で求人の魅力をアップ

令和2年の年金法改正により、2022年10月から段階的に一部の「パート」「アルバイト」の社会保険加入が義務化されます。

2022年10月から従業員数101人～500人以下、2024年10月からは51人～100人の企業が社会保険適用の対象です。ここでいう従業員数とは、現在の厚生年金保険の適用対象者数です。「フルタイムの従業員＋週労働30時間以上の従業員」の合計で計算することができます。

また、社会保険料の負担額の増加は社会保険料簡単シミュレーターで計算することができます。

届け出完了までの4つのステップ

施行期日までに段階的に準備をしていく、4つのステップを紹介します。

STEP1：加入対象者の把握

加入対象者の把握において、下記の基準を満たす人数を把握する必要があります。

• ・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
• ・月額賃金が8.8万円以上
• ・2かを超える雇用見込みある
• ・学生ではない

STEP2：社内通知

社内イントラやメール、給与明細への同梱などを活用し、従業員への周知を行います。

STEP3：従業員とのコミュニケーション

必要に応じて、説明会や個人面談を実施し、社会保険加入の新たな対象者であることや加入した場合のメリットなどを説明します。

本人が希望する場合、労働時間の延長や正社員への転換など、キャリアアップにつながる提案をすることも可能です。その場合、キャリアアップ助成金の活用も検討するとよいでしょう。

STEP4：書類の作成・提出

2022年8月までに日本年金機構から適用拡大の対象企業には通知書類が届きます。書類が届いたら、2022年10月までにオンラインで届出をしましょう。

今回の社会保険の適用拡大では中小企業生産性革命推進事業、キャリアアップ助成金などの補助金の活用ができます。期日前に適用拡大をした企業のみ受け取れる助成金もあるため、なるべく早く届出を行いましょう。

期日前の適用拡大（選択的適用拡大）のメリット

ここまで、適用拡大に向けた準備について説明しましたが、期日前の適用拡大（選択的適用拡大）をした際の3つのメリットを紹介します。

①社会保険完備で求人の魅力アップ

パート労働者に対し、社会保険に加入できる求人をどう思うかというアンケートを取った際に、約6割が「社会保険に加入できる求人は魅力的」と答えています。

②キャリアアップ助成金が受け取れる

キャリアアップ助成金には、期日前の適用拡大（選択的適用拡大）を行う企業を対象としたコースがあります。詳細は厚生労働省のキャリアアップ助成金のページに記載があります。

③生産性向上のための補助金が優先的に受け取れる

生産性向上に取り組む中小企業を支援する「中小企業生産性革命推進事業」では、取組内容に応じて3種類の補助金が受け取れます。期日前の適用拡大（選択的適用拡大）を行う企業は、応募要件が緩和されたり、審査の加点項目となるなど、優先的に支援が受けられます。

早めに取組むメリットを受けられるように準備をしてきましょう。

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