M&A(譲渡)検討段階からトップ面談に至るまでの3つのポイントとは?
M&Aは、事業承継や企業成長を実現するための有力な手段です。しかし、成功するためには、慎重な準備と各段階での戦略的対応が必要です。本コラムでは、特に譲渡を検討している経営者が押さえるべきポイントについて解説します。
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M&A交渉における株価算定の重要性
株価算定はM&Aの交渉において最も重要なプロセスの一つです。物流業界では、特有の資産構造があるため、注意深く算定する必要があります。特に、車両や不動産の評価は、企業価値に大きく影響します。
車両の時価評価については、物流企業が保有するトラックや配送車両が長期間使用され、帳簿上は価値が低く見積もられていることが多いです。しかし、実際の市場価値や使用価値が高いこともあります。
そのため、市場価格に基づいた適切な評価を行うことが重要です。また、車両の更新タイミングが近い場合は、そのコストも株価に影響を与えます。
さらに、不動産資産の評価も重要です。物流企業が所有する倉庫や物流拠点の時価評価が企業価値に大きく反映されるため、土地や建物の市場価値を正確に見積もることが必要です。自社保有物件と賃貸物件では評価方法が異なるため、それぞれに応じた評価を行うことが求められます。
譲受候補企業リストアップのポイント
譲受候補企業をリストアップする初期段階のリストを「ロングリスト」といいます。
このリストを作成する際に最も重要なのはシナジー効果です。譲渡企業と譲受企業が統合することで、事業拡大や効率化が見込めるかを確認します。
例えば、長距離輸送に強みを持つ企業と、地場配送に特化した企業が統合すれば、輸送範囲が広がり、業務の効率化が図れるでしょう。また、近年の「2024年問題」に対応するために、長距離輸送を辞め、地場配送に注力する企業も増えており、エリア別での候補先をリストアップすることも大切です。
企業概要書の作成
企業概要書は、譲渡企業の魅力を譲受候補企業に伝えるための重要な資料です。物流業界特有のビジネスモデルやサービス内容を明確に説明することで、譲受企業に対して自社の価値を的確にアピールできます。
企業概要書には、提供している主要サービス(一般貨物輸送、コールドチェーン、3PL、倉庫保管など)の詳細や、保有車両の種類・規模、対応可能な貨物の種類を記載する必要があります。さらに、倉庫や物流拠点の場所や設備の詳細も記載し、特に冷蔵・冷凍倉庫のような特殊施設がある場合は、それが競争力になることをアピールしましょう。
しかしながら、このようなアピールポイントがない企業の方が、圧倒的に多いのが物流業界の実情です。あらゆる観点(荷主・エリア・取扱貨物・文化など)からアピールポイントを探し、そこに共感してくれる企業を探すことも、我々コンサルタントの介在価値とも言えるでしょう。
おわりに
M&Aを成功させるためには、株価算定による適正な企業価値の把握、効果的な企業概要書の作成、シナジー効果を考慮したロングリストの作成が不可欠です。これらのステップを踏むことで、M&Aは単なる事業承継の手段にとどまらず、企業成長のための重要な選択肢となり得ます。
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