虚偽の申告によって不正受給していた手当を、給与から控除して返還してもらうことは可能か?

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三村 信明

船井総研ロジ株式会社 物流ビジネスコンサルティング部 
チームリーダー チーフコンサルタント

1978年生まれ。専門商社、大手経営コンサルティング会社を経て、2011年、船井総合研究所に入社。入社後は、生産財分野(製造業、建築資材メーカー、生産財商社など)、物流会社・運送会社を中心にコンサルティングを手がける。2018年7月より、船井総研ロジ株式会社に異動( 2019年1月転籍)。運送会社・物流会社に特化して、人事制度の構築・運用支援、組織戦略立案を行っている。

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無事故手当や無違反手当といった手当は、多くの運送業で月々の評価給としてトラックドライバーに支給されています。

無違反手当については、業務に支障をきたす理由から、プライベートにおける交通違反も対象とし、自己申告制で運用されていることが多いかと思います。
しかし、違反があっても給与が下がるため、申告してこないドライバーが多く、会社側が運転記録証明書を確認してはじめて申告漏れが発覚することがあるようです。

このように労働者が、無違反手当をはじめとした各種手当を不正受給した場合

1.民法第703条「不当利得返還請求権」
(法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は,その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。)

2.民法第709条「不法行為による損害賠償」
(故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。)

に該当することがあり、会社は不正受給相当額(場合によっては、遅延損害金も)を請求できるようになります。

とはいえ、給与から会社が労働者に対して所有する損害賠償請求権を一方的に相殺することは、労働基準法 第24条1項 「賃金全額払の原則」(賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。)に反することになるので注意が必要です。この相殺については、労働者の経済生活の安定を脅かすおそれのないよう配慮すれば、例外的に許されることがあります。

また、労働者の同意(一方的な同意ではなく客観的に見て)があれば相殺が有効とされる場合もありますので慎重に検討していただければと思います。

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