第57回 物流子会社の彷徨(7)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

今回のシリーズでは、利益を創出し親会社の物流費コストダウンの為の外販獲得 戦略が、結果として不調に終わりノンコア事業と位置づけをした物流子会社を 売却へと進展するプロセスを書いてきました。

では、物流子会社を売却する場合のベストな売却先をどのように見つけて その可否判断を行い、どのような結果が成功と言えるのでしょうか。

今号からは、仮説の事例をもってわかり易く売却のプロセスを追ってみたい と思います。

『仮説のシナリオ(物流子会社A社の売却)』

□A社の概要(仮説)
・親会社(製造業)100%の出資による物流子会社
・資本金1億円、従業員500名、年商300億円
・売上親会社比率は90%、外販比率10%
・経常利益 1億円
・倉庫業、運輸業、梱包業、流通加工業が主な事業内容
・子会社に人材派遣業(売上20億円あり)
・外販売上30億円は、3PLによる事業収入
・数年前までは、約3%~6%の経常利益が出ていたので2年毎に料金改定を行い、物流費を下げてきた。

しかし、ここ数年は親会社の物量だけ によるコストダウンも頭打ちとなった。

そこで外販に力を入れたが、経常利益率 が低下し現状維持が精一杯となった。

これらの現状を踏まえて、親会社はA社を売却し将来における更なる物流品質の向上と、継続的コストダウンを求める戦略を決定しました。

親会社が下した物流子会社A社の売却決定理由としては、以下の点が大きな 判断材料となりました。
①今後の物流ITへの資金の注入及び投資
②継続的な人材の雇用及び育成・教育への投資
③物流不動産への投資及び維持・管理
④親会社の購買チャネルが海外へとシフトし、その対応が出来なくなった
⑤親会社の新事業BtoCへの対応が上手に出来ていない。  

次号に続く…。

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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